2019年 6月 18日 (火)

刑務所が「終の棲家」に・・・増える高齢女性受刑者!認知症・貧困・孤立で介護施設化

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   刑務所で「おひとりさま」の高齢女性が増えている。貧困、孤立、認知症を抱え、万引きなどの軽微な犯罪を繰り返して何度も服役する。まるで刑務所が介護施設のようになってしまっているのだ。70歳以上の女性の犯罪の82.5%が万引きで、置き引きなどの犯罪も加えると9割以上が窃盗だ。

   全国に9つある女子刑務所のひとつ、岐阜・笠松刑務所では、受刑者の5人に1人が65歳以上だ。76歳の女性は2度目の服役だという。3年前に刑務所で認知症と診断された。体操の時間に座り込んでしまい、運動場から連れ出される。女性は70歳を過ぎてから食料品などを万引きするようになり、何度も逮捕されて刑務所に戻ってくる。デパートの店員や化粧品の販売をしながら2人の子供を育てたが、夫を亡くし、子供とは疎遠だ。

出所しても住む家も年金もなく舞い戻り

   身寄りのない「おひとりさま」の犯罪が増えているのには、単身世帯が増えていることがある。窃盗を繰り返し、1年半の服役を終えて出所した85歳の女性は、認知症の診断を受けている。自宅は老朽化して住むことも難しく、預金通帳の残高は数百円。年金を受けられず、支援を受けられないまま貯金を切り崩して生活していた。

   ゲストの津田塾大の村木厚子・客員教授は「福祉分野で、困っているとされる人には2つの共通点があると言われています。1つは困窮、病気、家族との離別などの困難が重なってしまった人。もう1つは社会からの孤立です」と話す。万引きをする高齢女性の動機で一番多いのが節約だ。次いで盗み癖、生活困窮と続く。

   村木教授「節約という言葉の背景には、生活に対する不安があります。もらえる年金の額が低いと、貯金を切り崩すしかない状況になります。刑務所に行く前に、福祉につながっていないということが大きな問題です」

   刑務所では、出所後に高齢受刑者が自立して生活できるように、理学療法士が相談に応じたり、リハビリの訓練などを行っているほか、介護予防のプログラムも準備されている。

   高齢受刑者の介護役の人手不足も刑務所の大きな問題だ。笠松刑務所では、職業訓練の一環として、元気な受刑者を介護係として養成して人手不足を補っている。受刑者の出所後の就職活動にも役立っており、すでに15人以上の出所者が介護の戦力となっているという。

自治体が住い探しや福祉手続きをサポート

   出所後、身寄りのない元受刑者のサポートのため、都道府県ごとに「地域生活定着支援センター」が設置されている。自治体の補助金などで運営され、食事の提供や見守りのサービスを受けることができる。一人暮らしの高齢者や身障者の住まい探しや福祉サービスを受けるための手続きを支援し、元受刑者が地域で暮らしていけるように環境を整える。

   85歳の女性も愛知県のセンターが支援し、センターが管理するアパートで暮らし始めた。今後、半年の間に、住まい探しや介護サービスの手続きを行っていくという。センターでは、適切な支援を続ければ一人暮らしの高齢女性の犯罪は減らせると考えている。

   キャスターの武田真一「受刑者たちが、刑務所をありがたいというのを見るとホッとしますが、やはり違和感もありますね」

   村木教授は「あれだけケアしてもらえば、そんな気持ちにもなりますね。本当は刑務所に入る前に、介護とか生活保護とか、刑務所の外の問題があります」

   龍谷大学の浜井浩一教授はこう解説する。「犯罪の背景には、社会的孤立があるということです。誰も心配してくれる人がいない状況から逃れたくて、刑務所に戻ってくる人たちがいます。日本社会が抱えている問題性を刑務所が体現しているとも言えますね」

   出て行ってもまた戻ってしまう「負の回転扉」を止め、刑務所が高齢女性の「終の棲家」になってしまわないようにするにはどうすべきか。

   村木氏「刑務所から出てきた人たちにとって、一番大事なものは居場所と出番です。誰かの役に立てるとか、誰かにありがとうと言ってもらえる場所。それが大事だと言われています」

NHKクローズアップ現代+(2019年5月21日放送「刑務所が"ついの住みか"に!?~おひとりさまが危ない~」)

文   バルバス
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