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「富山のスターになりなさい」相撲界の新星朝乃山を支えた亡き恩師、最後の手紙に涙止まらず

   相撲界に新星が現れた。令和になって初めての大相撲5月場所で優勝した前頭八枚目の朝乃山(25)はこれまで三役の経験がない。三役未経験者の優勝は後に横綱となった1961年夏場所の佐田の山以来、58年ぶりの快挙だ。

   5月場所14日目、千秋楽を待たずに優勝が決まった朝乃山の出身地富山では、駅前でパブリックビュ?イングも行われ、優勝決定の瞬間には歓声が。朝乃山がきっかけで相撲ファンになったという女性は「富山の誇りですね。スーパースター」と喜びを語った。朝乃山がよく来るという富山のスーパー銭湯では祝いの紅白餅も配られた。

朝乃山宛の遺書に「よく頑張ってて俺の誇りや」

   「富山にも恩返しが一つできたかな」と語る朝乃山。活躍の陰には高校時代の相撲部監督、浦山英樹さんの存在があった。朝乃山は、角界入りの際に「精神面が特に鍛えられたので、富山に錦を飾れるよう頑張りたい」と恩師に報告していた。

   そして、「成長した姿を見せたい」と頑張り、2017年初場所で十両昇進を決めた。しかし、浦山さんはその翌日、40歳の若さで亡くなった。胃がんだった。朝乃山は会見で「最後に優勝の姿を見せられたのでよかったです。関取になってもいい報告ができるように初心に戻って稽古にはげみたい」と語った。

   十両昇進でしこ名を本名の「石橋」から「朝乃山英樹」に改めたが、この「英樹」は恩師の浦山さんからいただいたもの。葬式に帰った時、先生や先輩、同級生と相談して決めたという。

   葬式の際には、妻のあいかさんが死後に英樹さんの手帳で見つけた朝乃山宛の手紙も渡された。そこには「よく頑張ってて俺の誇りや。横綱になれるのは一握りだけどチャンスがあるから頑張れ。富山のスターになりなさい」と震える文字で書いてあった。

   朝乃山は優勝会見で「先生も喜んでいると思うが、優勝して終わりじゃない。先生の遺書には『横綱』と書いてあった。なるのは簡単じゃないのであきらめずにやっていきたい」と目標を語った。

   橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「新たなヒーローが出る時、背後で支えてくれている人がいる。亡くなるまで思ってくださっていた。こんな幸せなことはない」

   細田千尋(神経科学者)「頑張っている人は、出来ないことがどんどんわかるようになる。(出来ない人より)出来ている方が不安を感じる。そういう時に可能性を示すと安心感を持つようになる。(浦山さんからの手紙は)横綱という具体的な目標と可能性を提示している。頑張る時の励みになる。」

   司会の加藤浩次「次の番付は小結くらいまでいく?」

   橋本五郎「しばらく日本人横綱がないので、相撲協会も考えるのではないか」

みっちゃん