2019年 12月 9日 (月)

7割の店員が被害!「カスタマーハラスメント」介護職員、バス・タクシー運転手も深刻

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   カスタマーハラスメントで追い詰められ、心を病んだり、職を失う被害者が少なくない。カスハラが目立って増えているのが介護の現場だ。西日本のグループホームに勤務する男性職員は、「私たちが最も精神的ダメージを受けるのは利用者よりもその家族のハラスメントや言葉の暴力です」と語る。入所女性の息子から電話で、「仕事が忙しいので、サービスとして母親の着替えを毎朝取りに来てほしい」と注文があった。「そういうことはできかねます」と断ると、「じゃあ、いつまでも汚いのを着せておけというんか、お前らは」と怒鳴ってきたという。

   さらに別の日、息子は母親を外食に連れ出す際に、「終わったら連絡するから、店まで迎えに来てよ」と要求した。「車がないから、いつになるか分からない」と答えると、息子は「それくらいしても当たり前だろう、料金払っているんだから。お前バカじゃないの」と罵声を浴びせた。送迎サービスは資格が必要で、この施設ではやっていない。

   この職員は「過剰サービスを求めるケースが増えているうえ、人として扱って下さらない方がいて、やりがいが感じられないですよ」と嘆く。

ネットで名前と顔晒され失業

   流通サービス業界で働く人の7割がカスハラ被害を受けているという調査もある。深刻さは運輸業界も同じだ。路線バスの運転手は今年3月(2019年)、乗客から執拗なハラスメントを受け、医師から精神疾患の診断を受けた。運転手はこう話す。「いつもの通りの路線を運行中、男が運転席に歩み寄ってきて、『運転が荒い。ブレーキがきつい』と強い口調で言い放ち、攻撃されているような感じでした。他の客の乗車、降車を確認しないといけないし、事故につながるのではという恐れを感じました」

   男のクレームはこれで終わらなかった。運転手が営業所へ戻ると、男から電話が入り再びクレーム。数時間後には営業所にまで押しかけてきた。会社の指示で運転手が直接応対すると、男は「お前がいちばんワーストで運転が下手だ。恥ずかしくないのか」と罵詈雑言を浴びせ続けたという。運転妨害に等しいハラスメントだが、毅然とした態度で臨まなかった会社側の対応が男を増長させた。

   タクシードライバーを襲うハラスメントも深刻だ。元タクシードライバーは仕事を失い、生活ができない状態に陥った。若者のグループを乗せたところ、なかなか行き先が決まらなかったため、つい「目的地を決めてから乗車して下さい」と言ってしまった。

   数時間後にネット上にドライバーの名前と顔写真がアップにされ、「この会社の車には乗らないように」と呼びかける書き込みがあった。顔と名前がネット上に晒されたことで、会社を辞めざるを得なくなったうえ、次の仕事を見つけることができなくなった。

立場弱い人がさらに弱い人を攻撃

   こうしたカスタマ-ハラスメントの背景には何があるのか。労働社会学が専門の甲南大の阿部真大教授は「企業がお客様の存在を強く意識するあまり、消費者の存在感が増し、逆に働く人や働き方への想像力が薄れてきています。労働組合の弱体化もその一つではないでしょうか」と指摘する。

   作家の石井光太氏はこう見る。「社会の弱い立場の人たちを、強いものがいじめる。あるいは、弱い立場の人がさらに弱い立場の人をいじめる構図があるんじゃないでしょうか。おそらく、無意識のうちにそういったものが成り立ってしまっている部分があるのでしょう」

   東京都内のタクシー会社では、目に余る迷惑行為があれば、客を途中で降ろしても構わない方針に変えた。これをきっかけに関東のタクシー会社約400社が同様の対応を取り、全国に広がりつつあるという。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年5月29日放送「カスタマーハラスメント!客の暴言で心が壊される」)

文   モンブラン
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