2024年 4月 25日 (木)

「いだてん」田畑政治、なぜ水泳と記者の二足のわらじをはけた? 朝日新聞社報の謎解きが面白い

朝日新聞は野球とともに水泳も販売戦略にしたかった?

   社報では、「水泳は記者活動の妨げにならなかったのか?」と、現代の記者として当然の問いを投げかけている。ドラマでは記者の仕事そっちのけで水泳活動にまい進する姿が描かれているからだ。しかし、実際は優秀な政治部記者だった。当時の政治部長が先鞭をつけた「夜討ち朝駆け」を率先して実行、政治家の懐に飛び込む。つかんだネタを後輩記者に伝えて特ダネにさせる。

   もう1つは、当時の朝日新聞のスポーツ報道事情もあったようだ。朝日新聞は1915年から全国中等学校野球大会(現在の夏の甲子園大会)を主催、新聞販売面でも役立った。28年のアムステルダム五輪で、水泳の日本選手が金・銀・銅メダルを獲得、にわかに水泳が注目されるようになった。そこで、同年10月、朝日新聞は「国際水上競技大会」を主催する。

   結局、野球大会に加えて水泳まで社の事業にする余裕がなかったのか、翌年以降大きな水泳大会を主催していない。しかし、証拠資料は残っていないが、「社として花形コンテンツとなった水泳の中心人物を抱え続けていく方針を立てたとしても不思議ではない」と特集記事では推論している。田畑の上司の緒方竹虎はこんなコメントを残しているという。

   「田畑はエラくならなくってもいいんだよ。田畑には水泳があるんだから」

   田畑の「二足のわらじ」の背景に、こんな新聞社事情もあったことを頭に入れておくと、「いだてん」を見る楽しみも増すかもしれない。(テレビウォッチ編集部)

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