少年が旅先でなくしたテディベアを巡る物語の結末に、カナダ中の人たちが感動している。
ノバスコシア州に住む7歳の少年、ダンカン君は、夏休み中に叔父の住むエイドリーという街を訪れた。ダンカン君はしかし、自宅からおよそ4800キロ離れたこの街で、大事なテディベアをなくしてしまった。
テディベアはただのぬいぐるみではない。おしゃべり機能付きのもので、ダンカン君が5歳の時に亡くなった母親が生前に録音したメッセージが入っている大事な形見だった。
家に帰る直前、空港でテディベアがいないことに気が付いたダンカン君とその家族。帰宅後、叔父の家にもなかったと知り、ダンカン君は落ち込んだ。その様子を見かね、育ての母親のラネルさんがネットに事情を投稿。すると、エイドリーの地元ラジオ局がラネルさんに番組出演を依頼してきた。
ラネルさんはそこで「ダンカンにはいつまでも母親の思い出を持っていて欲しいのです」と訴えた。
さらに放送後、ラジオ局は、この訴えをツイッターに投稿。「エイドリーのみなさん、あなたたちの助けを求めています。家族がまた、テディベアと一緒になれるように手伝いをしてください」と呼びかけた。そしてカナダ全土を巻き込む、大捜索作戦が始まった。
3日後、エイドリーに住む女性ヘイディ・エリクソンさんが公園の入り口で、SNSで見たものと同じバックパックを発見。中を確認すると、茶色いテディベアが入っていた。
この奇跡の発見はあっと言う間に広まり、エイドリーのピーター・ブラウン市長も「みんなやったぜ!クマのぬいぐるみが見つかって市内を巡回している。小さな男の子の夢を実現させた皆さん、ありがとう」とツイート。
テディベアは市内のあちこちで写真を撮られた。ダンカン君が気を落とさないよう、街で遊んでいたことにされ、その様子をまとめたアルバムが作られたのだ。テディベアにはエイドリーの名誉市民の称号も与えられた。
飛行機の座席に座り、無事にダンカン君のもとに帰ってきたテディベア。ダンカン君はそれをしっかりと抱きしめ、「探してくれたみなさん、ありがとう。特にみつけてくださった方に感謝します」とコメントした。
ちなみに、テディベアに録音された母親のヴォイスメッセージは、「あなたのことを永遠に愛している」だそうだ。
司会の小倉智昭「この一言をたまに聞くことによって、少年は『ママの分も生きるんだ』って気持ちになっていたのだろうね」
古市憲寿(社会学者)「街の人がみんなで写真を撮ってましたけど、本当は一刻も早く返してあげた方が良かったのでは。あの時間いりますか?」
小倉「いい話だから古市くんに振るのはやめようと思っていたんだ。どうせこうなるから」