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各地の名物まつり次々休止!見物客のマナー悪く安全確保・警備が間に合わない

   大阪の天神祭は来場者130万人という夏の一大イベントだが、その警備費が年々かさんでいる。花火はとくに人気で、終わると帰路に人がどっとあふれる。300ページの警備計画書を用意し、自主警備責任者を務めた尾崎建爾さんは「今年動員した警備員830人は、10年前の2・5倍」と話した。

   2001年に兵庫県明石市で起きた花火大会事故では、人々が折り重なり11人が死亡した。以来、警備に負担が増した。

   今年の天神祭りでは、花火打ち上げ30分前の夜7時にはよく見える橋の上は人でいっぱいになったが、それでもさらに詰めかけてくる。制止も聞かず、進入禁止を示す黄色いテープをくぐりぬける男女が後を絶たなかった。

   7時半の打ち上げ開始時には、「抜けられへんの?」「迂回してください」といったやり取りがあちこちで起きた。橋の欄干を外からまたいで入り込もうとする危険行為もあった。午後8時前には近くの国道1号までがぎゅう詰め状態となった。

   体調を崩した来場者もいて、救急要請は30件。今年の警備費は4300万円と10年前の2倍に達した。

違法駐車、ゴミ散乱、規制線突破が横行

   長年続いた祭りや花火大会を中止するケースが、NHKのまとめで、この2年で50件もある。北海道旭川市の石狩川フェスティバルは、違法駐車がひどく、警備費が追いつかないため、よさこいステージと花火大会をとりやめた。神奈川県藤沢市の江の島花火大会は混雑予想で休止。横浜市の鶴見川サマーフェスティバルは、観客が増えたうえに、酔って海に入る人がいて、安全性を確保しきれず休止。どこもマナー違反、違法駐車、ゴミ散乱、規制線突破などのトラブルに主催者はお手上げという。

   こうしたマナー低下の原因として、目白大学の岡星竜美教授は「フリーライダー(ただのり)」現象を指摘する。「これぐらいなら許されるだろうとやる人がいる」「イベントの規模が大きくなって、規制しきれないこともある」という。

人口減・税収減で自治体の支援も先細り

   400年以上の歴史を持つ徳島の阿波踊りには、毎年100万人以上の見物客が訪れる。しかし、累積赤字4億3600万円をかかえ、運営改善をめぐって、踊りの団体と徳島市が対立した。今年も桟敷席の修繕やシャトルバスの運行などで経費がかかり、公演を一部中止した影響もあって、9000万円を超す赤字が出そうだという。

   徳島市から運営を委託されたイベントプロ集団の前田三郎さんは、「桟敷席の数を見直す必要があります。人口減にあったスタイルをつくることが課題です」という。地元自治体の財政事情や祭りの担い手をどう確保するかという問題もある。

   栗原望アナ「祭り中止には、自治体財政の危機や少子高齢化が反映されています」

   武田真一キャスター「協賛金や助成金、チケット収入は減るのに、警備費や設備費はふくれる現状があります」

   祭り好きのタレントのつるの剛二は「毎年規模拡大してバージョンアップさせながら、来年の開催を心配しているというのは本末転倒ではないですか」と言った。その通りだろう。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年8月29日放送「日本から祭りが消える!あなたの"マナー"は大丈夫?」)