「全曜日、全時間帯働けます」という「喉から手が出るほど欲しい人材」が実は...16都府県連続コンビニ窃盗犯の手口

   全国のコンビニで窃盗を繰り返し、逮捕・起訴された住所不定・無職の野嶋亘平被告（36）。野嶋被告が関与したと見られているのは、北は宮城、南は鹿児島まで、16都府県のコンビニ30店で、1年余りの間の被害総額は約1000万円だ。

勤務初日からレジのカネを盗み、姿を消す

   2017年12月、被害にあった大分県内のコンビニ店長は、野嶋被告の巧妙な手口を明かす。持参した履歴書に書かれていたのは「全曜日、全時間帯勤務可能」という文言。「今日からでも働けます」と、人手不足が深刻化するコンビニにとっては嬉しい言葉を口にした。

   さらに、面接で志望動機を聞くと、「親から頼まれて、おばあちゃんの面倒をみないといけない。大分に1人で残していくわけにもいかないので働きたい」と情に訴えてきた。コンビニ店長は「喉から手が出るほど欲しい人材だった」と話す。「アルバイト歴を見たら、最近までコンビニで働いていたと書いてあった。人当たりも良く、マジメな印象で、いい人が来たなあと思った」

   ところが勤務初日、野嶋被告は「トイレに行かせてください」と言ったきり姿をくらます。調べてみると金庫やレジから現金25万円ほどが消えていた。

店員に扮した警察官が待ち構えて逮捕

   警察は「アルバイトとして採用した男が勤務中に金を盗み、行方をくらます事件が全国で相次いでいる」と注意。男の出した履歴書のコピーとともに手配書を大分県内のコンビニに配っていた。

   そして去年（2018年）10月、大分市内の別のコンビニで野嶋は逮捕された。このコンビニ店長が、警察から配られた手配書にあった履歴書の文字と、男の持参した履歴書の文字が似ていると気づき通報したのだ。野嶋被告は勤務初日、店員に扮した警察官に取り押さえられた。「とくダネ」が入手した防犯カメラの映像には、警察官に囲まれ、半笑いを浮かべている野嶋被告が映っていた。

   野嶋被告の罪状は窃盗罪よりも重い、「常習累犯窃盗罪」。懲役3年から20年以下が課さられる。野嶋被告は今回の一連の窃盗以外にも過去に同様の犯行をしていたようだ。

   伊藤利尋アナ「最初はどうだったんですかね。普通のバイトの出来心だったのか、最初から盗むつもりだったのか...」

   橋口いくよ（作家）「アルバイトでも簡単にお金に触れる状況にあるから、心がグラッとしてしまったのかな、とも思います」

   古市憲寿（社会学者）「全国ツアーみたいに回っているのは進んでいるところですよね」