2019年 9月 20日 (金)

一般病院でも広がっている「患者の身体拘束」認知症で手間かかる、看護師が足りない・・・

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   かつては精神科に多かった「身体拘束」が、一般病院でも認知症患者の半数近くに及んでいるという。持病で入院した79歳の母親を見舞った息子は驚いた。ベッドに両手両足を縛られ、わずか2か月でほとんどコミュニケーションが取れなくなっていた。病院に聞くと、「点滴を抜いてしまう」「夜歩き回って安全が確保できない」という。改善を求めたが断られたため、転院させた。

   母親は、まったく歩かなかったため、つま先が伸びた「尖足」と、手の指が固まって動かない「拘縮」になっていた。むろん話はできない。転院先ではリハビリに集中した。 そして4年、いま母親は椅子に座って、何やら書きつけている。「ボケないようにね」という。息子と「あのままだったら死んでたね」と話ができるまでに回復した。まるで別人だ。

新しいケア技法「ユマニチュード」

   一般病院では、命の危険のあるような緊急やむを得ないとき以外、身体拘束は認められていない。なぜなくすことができないのか。神戸の宮地病院は拘束を減らす試みを進めているが、一部の患者への拘束はなくせないという。理由の1つが認知症の急増だ。去年までの4年間で倍増して、病棟の平均年齢は80歳以上だ。

   もう1つが夜間の人手不足。40人の患者を看護師2人とヘルパー1人で看る。また、家族が要望することもある。点滴を抜くのでミトンの手袋。ベッドを柵で囲む。車いすに縛り付ける・・・。看護師は「可愛そうだけど、患者を守るためやむを得ない」という。

   宮地病院は「ユマニチュード」というフランス生まれのケア技法に取り組んでいる。人としての尊厳を大切にするコミュニケーションで、意識レベルの低下や注意力が散漫になる「せん妄」を抑え、認知症の人でも穏やかになるという。

   ケアの柱は「見る」「触れる」「話す」「立つ」だ。穏やかにポジティブな言葉をかけ続け、あなたを大切に思ってるというメッセージを伝える。救急医療の分野でこれを取り入れているのが、久留米の聖マリア病院だ。集中治療室の看護師全員がユマニチュードの研修を受け、1年で身体拘束率を3分の1に減らした。

   国立病院機構・東京医療センターの医師、本田美和子さんは「これは家族の介護にも使えます」と、スタジオで実際にやってみせた。患者への近づき方、目と目を合わせる、触り方、場所、そしてできるだけ座らせる。ベッドから下ろした足が地面(台)に着くことが大事だという。覚醒を促し、自分の置かれている状況を理解させる。

高山アナが「身体拘束」体験!2時間でギブアップ「心が折れました」

   身体拘束をゼロにした病院があった。群馬・沼田市の内田病院は縛らないケア技術を徹底させた。

   肺炎で入院した認知症の87歳の女性。点滴を抜くので、足にした。人形や家族の写真などを置く。転倒の恐れがあるときは、車椅子で看護師の作業スペースに連れてきてしまう。目の前で見守るから、スタッフの負担度も減った。認知症の重症度は、入院1週間で半分以下になった。

   内田病院の田中志子理事長は、「スタッフの負担感はいつまでも続くものじゃない。状況は私たちのケアのあり方で大きく改善します。身体拘束廃止をみんなが前向きに捉えられるかどうかが、まず初めの一歩ではないか」という。

   その内田病院で、高山哲哉アナが実際の身体拘束を体験した。30分で鼻が痒くなって、1時間でイライラ、1時間半で「もうだめ」、2時間で「心が折れました」とギブアップになった。これを連日続けられたらどうなるか。ぞっとする。

NHKクローズアップ現代+(2019年9月11日放送「身近な病院でも!なぜ減らない"身体拘束"」)

文   ヤンヤン
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