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<なつぞら>(最終話・9月28日土曜放送)
「これからも家族の夢を描いていきましょう」日高山脈の風に吹かれながら、なつたち家族は新しい「開拓」に踏み出した

   嵐が去った翌日、なつ(広瀬すず)は泰樹じいちゃん(草刈正雄)と死んだ幼馴染の山田天陽(吉沢亮)の畑に向かった。泥の沼と化した畑で、妻の靖枝(大原櫻子)がジャガイモを掘り起こしていた。「畑はこの通り。けど、イモは残っています。水浸しで売り物にはならないけれど、でんぷんとして出荷することはできるかもしれんわ」

   たくましい言葉を聞いて、泰樹は「天陽が守ったんじゃ」と言う。

   なつと並んでジャガイモを掘りながら、泰樹は「なつ、わしが死んでも、悲しむ必要はない」なんて言い出した。じいちゃんは、いつもびっくりすることを、突然、口にする「じいちゃん、何を言ってるの」

   泰樹は手を動かしながら、「天陽と同じじゃ。わしの魂もこの大地にしみこませておく。寂しくなったら、いつでも帰ってこい。お前は大地を踏みしめて歩けばそれでいい」とつぶやく。

   「それに、わしはもうお前の中に残ってるべ? お前の中に生きとる。それで十分じゃ。よくやったな、なつ。お前はよく東京を耕した」

   なつは声を震わせながら、やっと「じいちゃん、大好き」と絞り出した。泰樹はそれを聞き、顔を上げた拍子にふらつき、慌てて支えようとしたなつと泥の中にたおれこんでしまう。大の字になって青空を見上げた2人は、大声で笑いだした。

どこまでも大地と青空の広がるこの世界を、いつか描きたい

   翌日、なつは夫の坂場一久(中川大志)と娘の優(増田光桜)と一緒に、近くの丘に向かった。なつが子供のころ、いつも写生をしていた丘だ。丘の上には日高山脈から吹く風を感じた。それを顔に受けながら、なつは言った。「ここからまた始まるんだね、私たちの開拓が」

   「なつと優と家族になれてよかった」と坂場。「これからよ。これからもまた、ひとコマ、ひとコマ、アニメーションみたいに家族の夢を描いていきましょう」となつ。そんな2人を見上げていた優が、「ママとパパ、ソラとレイみたい」と叫ぶ。

   3人は手をつないで丘を下っていく。どこまでも大地と青空の広がるこの世界を、いつか描きたい――。なつはつないだ手にギュッと力を込めた。(NHK総合あさ8時)