2019年 10月 16日 (水)

千葉「大停電」復旧の遅れの原因と責任と後始末――県か?東電か?

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   台風15号で多くの電柱が倒壊し、千葉県を中心とした停電は長期間続いた。電柱にはNTTの電話線、光ケーブル(インターネット)など、さまざまな役割のケーブルが張られており、このライフラインの寸断が大きな影響を及ぼした。国の基準では、平均風速40メートルに10分間耐えられるように定められている電柱が、最大風速35.1メートルの風で次々と倒れたのはなぜか。

   鋸南町の現場を見たユニバーサルエネルギー研究所・金田武司氏は、「トタン屋根や看板などの飛来物が被害を拡大した」と指摘した。飛来物が電柱に与える影響を模型で実験すると、風速20メートルでも畳7枚分の飛来物が電線や電柱に張り付くと、風速40メートルに匹敵する負荷がかかることが分かった。

誰も把握していなかった被害状況

   「隠れ停電」も起きていた。大網白里市は9月19日(2019年)には停電戸数は「0戸」とされていたが、市役所には停電を訴える100件以上の問い合わせがあった。これは電線の構造が関係していた。電柱の電線には3種類あり、6600ボルト以上の「高圧線」、100ボルト・200ボルトの「低圧線」、そして電柱から各家庭に送電する「引き込み線」だ。

   東京電力のモニタリングシステムでは高圧線の状況しか確認できず、低圧線と引き込み線を確認するには、住民からの連絡と実際に電柱に上って確認するしかない。今回は、その状況がつかめずに「隠れ停電」が発生していた。

   これらの事態にどう備えるべきなのか。木更津市の危機管理アドバイザー・国崎信江さんは、「東電の情報を市はテレビで知る状態で、市はその情報を信頼して、停電よりも災害対応、物資調達に振り回されてしまった」と分析している。金田氏は「飛来物により、送電の"毛細血管"がやられてしまった。事前に対応できたはず」と指摘した。

   NHK千葉支局の佐野豊記者は、自治体が電柱周辺の伐採することも対策になるという。

「電源車」余ってた?自治体から配備要請なし

 

   病院に電源車が来ないという問題もあった。南房総市の中原病院には100人が入院していて、エアコンが使用できず、暑さで体調不良を訴えていたが、電源車は来なかった。市役所は中原病院には非常用自家発電機があり、治療は続けられると判断したのだ。実際は、自家発電機では人工透析などの治療はできても、エアコンが稼働できない。

   中原病院は東京電力に電源車の配備を要請したが、東京電力から連絡があったのは要請から2日後だった。緊急度合いに応じて優先順位をつける「電力トリアージ」が行われていなかったのだ。

   東京電力非常災害対策本部・電源車支援チームによると、各自治体に連絡係となる社員(リエゾン)を派遣し、リエゾンが自治体から集めた情報をもとに東電が派遣の優先順位を決めたという。千葉県防災危機管理部は「県から市への呼びかけが足りなかった」という。自治体が直接、東京電力に電源車の要請ができることが周知されていなかったのだ。NHKの聞き取り調査では、千葉県17の自治体のうち、15の自治体が電源車の要請を自らできることを知らなかった。

   金田氏は「今後は停電の発見をどうするかが課題になる」として、スマートメーターでの把握、ドローンによる被害状況把握、自衛隊ヘリで上空から把握などを挙げた。

NHKクローズアップ現代+(2019年10月1日放送「大規模停電のリスクにどう備えるか~検証・台風15号~」)

文   バルバス
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