「ヘアドネーション」を知っているだろうか。髪を寄付する活動で、 髪はがんや脱毛症で髪を失った子供たちのウィッグになる。タレントの柴咲コウや熊田曜子らがSNSなどで発信したこともあり、女性を中心に参加する人が増えている。
ヘアドネーションは子供たちの間でも広がりを見せていて、寄付の受け付け、ウィッグ作りなどの活動をしているNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」には、毎日300通以上の髪の毛が届く。その約4割が10代以下の子供からだ。
渡辺貴一代表理事は、子供たちの社会貢献の意識の高まりと、自由研究の題材になりやすいことが背景にあるとみている。「自分が伸ばして、自分が切ったということを勉強するので、体験できる自由研究の課題として取り組みやすいんです。それをクラスで発表するので、また広まる。なにか人の役に立ちたいというハードルがすごく下がっているのかなと思います」
男の子も増えているという。小学3年生の本村尤人(ゆうと)くんは、2年前にテレビでヘアドネーションをしている男の子を見て、髪を伸ばし始めた。いまは長さ43センチになった。
自分と同年代の子たちが髪の毛を失って苦しんでいると知り、「髪の毛をあげてみたいなって思った」という。母の由美さんは男の子が髪を伸ばすことに不安もあった。「『からかわれるよ』『女の子に間違われる』という話はしましたし、心配もしました。でも、彼は『僕の友達にそんな子はいない。もし言われたとしても、ヘアドネーションをするからって説明をすればわかってくれると思う』って言ってました」
尤人くんに影響されて、妹の心乃(みな)ちゃんと由美さんも髪を伸ばし中だ。
橋本奈穂子アナ「ヘアドネーションは性別、年齢関係なく、どなたでも参加できますが、受け付ける髪の毛の状態には条件があります」
団体によって異なるが、ジャーダックで受け付けている髪は、長さ31センチ以上で完全に乾いているのが条件。髪を受け取った後に質を均一にする処理をするので、白髪、パーマ、カラー、脱色していもOKだ。