2019年 11月 20日 (水)

自爆からドローンへ!新たな「貧者の兵器」でテロ拡大―安く簡単に作れて防空システムに捉まりにくい

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    サウジアラビアの石油施設が先月(2019年9月)、ドローンに攻撃され、世界の原油供給量の5%が一時生産停止に陥った。軍事目的のドローンが世界に拡散している。4年前に、人気漫画「ゴルゴ13」で殺人ドローンの登場を予告した作者のさいとうたかをさんは、「機械の戦争につき進む人間のばかばかしさに気づいてほしい」と危機感をいだく。

   サウジアラビア石油施設への攻撃を、アメリカのバード大学ドローン研究センターのダン・ゲッティンガー所長は「ミサイルに対する防空システムを備えていたはずですが、低空で侵入するドローンは鳥のようでとらえにくい」と指摘する。

   サウジ政府が公開したドローン18機の残骸写真から、平塚三好・東京理科大教授は「ウィングジェットという垂直翼が高いので、時速200キロは出ただろう。エンジンは米軍用のものと同タイプで、同レベルの性能と考えてよい」と推測した。

   イエメンの反政府武装組織が犯行声明を出したが、サウジ政府は「イランの無人機に似ている」と強調。アメリカ政府が「イランの関与だ」と主張し、イランはこれを全面否定しているが、イラン革命防衛隊のキャナニモガダム元司令官は「アフガニスタンで墜落したアメリカ軍のドローンを分解して、使い方を習得した」という。

アメリカ軍がアフガンで使ってテロ組織に拡散

   2000年代、ドローンの兵器技術はアメリカとイスラエルが独占し、アメリカ軍がアフガニスタンの戦場に投入した。そこから拡散が始まっていた。「イランはいまや世界で5本の指に入るドローン技術大国に成長した。ドローンはおもちゃのように誰でも作れる」と、元司令官は言ってのけた。

   こうした軍事用のドローンを分解すると、使われている部品のほとんどは民生用だ。プロペラは中国、位置確認のGPSはウクライナ、制御装置は韓国と、世界中から調達されている。テヘランの会社に輸出した韓国の無線部品メーカーの担当者は、「軍事用に使われるとは知らなかった」と話す。一つ1万2000円だったそうだ。

   イスラエルも2000年代にドローンをパレスチナ攻撃に使っていたが、今ではその兵器製造技術がイランから中東各地の武装組織に伝わる。イスラエルが8月に公開した映像には、シリアからドローンを飛ばそうとする人物2人が写っていた。「いったん飛べば防ぐのはむずかしいので、その前に止める」(イスラエル軍報道官)として、イスラエルは2人を殺害したという。2人は23歳で、高校卒業後、レバノンの武装組織「ヒズボラ」の奨学金を受けて、イラン革命防衛隊が管理運営する大学で技術を学んだらしい。

   ドローンは安く、簡単につくれ、正確にターゲットを攻撃できるため、日本エネルギー経済研究所の保坂修司・研究理事は「新たな貧者の兵器」とたとえる。「これまでの自爆攻撃は、警備のゆるいソフトターゲットにしか使えなかったが、ドローンなら攻撃を拡大できる。中東はその実験場どころか、実戦の場です」と見る。京都産業大学の岩本誠吾副学長は、部品にされる民生品の規制がむずかしい点から、「テロリストがホームメイトのドローン兵器を作れる」と指摘する。

セコムは3年前から検知システムを実用化

   バード大学ドローン研究センターが今年発表した軍事用ドローン地図では、2010年に60だった使用国が2019年には95と1・5倍に拡大した。中国は30カ国に輸出し、アメリカも産業界の圧力で去年から大型ドローンの輸出を緩和した。トルコやロシアも輸出に力を入れ始めた。

   武田真一キャスター「日本はどう対応したらいいのでしょうか」

   警備会社「セコム」は3年前から検知システムを実用化したが、「どこからどうやってくるかが分からないのが一番の脅威」と、さらに改良を加えることにしている。海外からの売り込みもある。イスラエルの企業は妨害電波で撃退する新兵器をセールスし、「世界中に客がいる」という。防衛省は来年度予算の概算要求に、研究費として28億円を計上した。

   岩本副学長は「主要競技場や空港上空のドローン飛行禁止や電波妨害措置、保持者の登録・免許制の議論を」「共通認識の再構築を」と強調した。保坂教授は「日本に飛んでくる可能性を意識する必要があります。他人事ではない」と対応を求めている。

   *NHKクローズアップ現代+(2019年10月24日放送「ドローン兵器の衝撃~新たなテロの時代~」)

文   あっちゃん
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