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一重まぶたは美しくないの?外見で差別する「ルッキズム」メディアが増幅

   ネット上で飛び交うトレンドワードの中で、「クローズアップ現代+」の占部ディレクターが注目したのは、「一重まぶた」だった。ある男性が「日本人はよく二重まぶたにあこがれるけど、一重まぶたもかわいいと思う。みんなもっと自信をもって」と投稿したら、10分後に女性と思われるこんな書き込みがあった。「なにが一重まぶたはかわいいだ。私はただ二重まぶたになりたいだけなんだよ。お前らが良いと思っても、私は嫌なんだよ。二度と口に出すな」

   この投稿がさらに目を引き、批判やら賛同など12時間で1万件以上もの書き込みがあった。「自分は二重だからって一重を見下す人は、他のパーツは残念なやつばかり。二重だけで偉そうにしないでほしい」「男性ウケは狙ってないけど一重まぶたを見下す二重女性が嫌いだから二重になりたい」などだ。まぶたの形によって不利益を被る辛さを訴えていた。

全身整形で1000万円

   背景にあるのは「ルッキズム」と呼ばれる外見にもとずく差別だった。占部ディレクターがこのテーマを象徴するような整形アイドルの「轟ちゃん」に話を聞いた。轟ちゃんは全身整形でこれまで1000万円を費やしたという。そのつど、手術の様子や術後の腫れあがった顔の映像をYou Tubeに投稿していて、チャンネル登録者数は36万人にのぼるという。

   轟ちゃんは中学時代は自分の顔に劣等感を抱き、人と話すのが苦手だった。初めて整形手術したのは18歳の時。まぶたがコンプレックスだったため、一重を二重にした。さらに、幅広のパッチリした二重に再手術。しかし、その後、思うところがあって、一重に近い奥二重の3度目の手術を行った。「私はもともとそういうトレンドとかに踊らされやすい側の人間だったんですよ。でも、いつ(一重の)呪いが解けたかと言われると、世間一般に言う『美しい』に、自分の『美しさ』が当てはまらなかったんだなって気付かされた時です。今の奥二重に戻してからだと思います」と話す。

   ゲストのラッパー/アーティストのなみちえさんは、メディアのあり方に苦言を呈した。「二重まぶた神話は、メディアによって形成されていると思う。たとえば、ハーフメイクとか外国人風メイクは、一般的に目がパッチリ。見た目を似せさせようとして、それを売りにしているんです。それ自体がアイデンティティーの喪失。それが商業的に扱われることによって社会が動いていることに対し、とても問題があると思います」

NHKクローズアップ現代+(2019年11月13日放送「追跡!トレンドワード~「一重まぶた」炎上の深層~」)