『電話』やっぱり便利だ!いや、もう邪魔だ!再活用する佐川急便、全廃するITベンチャー
SNS世代の「電話イップス」呼び出しベルが鳴るだけで緊張
対極には、電話をとるのがつらい、緊張してしまうというSNS世代の「電話イップス」の問題がある。三須雄介さん(27)は大企業の広報部署にいたが、電話が嫌で1年で転職した。「人づきあいが苦手なほうではないが、固定電話で知らない相手と話した経験がなかった」という。鳴るだけで緊張してしまい、メモを忘れる、受話器をとりそこなうなどのミスをやったそうだ。
妻の早紀さん(26)も「電話が突然かかってくると、暴力的に感じます。その場でこたえなければいけないのが怖い。考えをまとめる時間がほしい」と話す。夫婦のやり取りもLINEで、「電話がなくても生きていけます」「SNSでも相手の反応はわかります」という。SNSなら履歴が残るメリットもある。
広島県の精米機メーカーは、午後1時すぎから2時間ほど内線電話を一切禁止した。「仕事に集中できないという意見が出たためで、これで仕事が中断されることを防げた」と役員はいう。社外からの電話には管理職が出るようにしている。効率が大幅アップし、残業時間は半分に減った。
すべての電話機を廃止したというITベンチャー企業もある。一部の取引先から契約を解除され、売り上げは10%減ったが、高圧的な電話や受けた社員へのケアに要する時間が31%減ったという。
宮田教授は「人と人とのつながりをどうデザインするかが問われます」と解説する。武田真一キャスターは「コミュニケーションの質そのものを上げていかないといけませんね。電話も他の手段も大事です」と手堅くまとめた。
*NHKクローズアップ現代+(2019年11月20日放送「"もしもし革命"進行中!~いま電話になにが?~」)