2020年 1月 26日 (日)

<永遠の門 ゴッホの見た未来>
世間に認められず燻ぶるゴッホ・・・画家でもある監督と老優が見事に描いた奇才

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   1888年、画家としてパリではまったく評価されていないフィンセント・ファン・ゴッホは、出会ったばかりのゴーギャンの「南へ行け」というひと言で、南フランスのアルルへ向かった。弟・テオの経済的支援を受けながら、『黄色い家』をアトリエにして創作活動を始める。

   新表現主義の画家であり、映画「バスキア」「潜水服は蝶の夢を見る」などを監督したジュリアン・シュナーベルの最新作である。スクリーンに登場する130を超えるゴッホの絵は、シュナーベル、主演のウィレム・デフォー、そしてスタッフの画家チームらによって描かれたという。

精神を病んでボロボロになっていく37歳

   まず、37歳のゴッホを演じたのが64歳のウィレム・デフォーというのが驚きである。「プラトーン」(1986年)や「スパイダーマン」(2002年)など、コワモテな風貌を生かした癖のある悪役を演じさせたらピカイチという印象があったが、この映画では一からシュナーベルに絵画の技術を学び、若きゴッホを熱演している。

   とはいえ、スクリーンに映るデフォーは特段メイクなどで若作りしている様子はない。ほとんど素のデフォーそのまま。ゴッホのトレードマークである赤毛に染めているくらいである。むしろ、顔に深く刻まれたほうれい線や骨ばった手など、まぎれもない60代の外観が、精神を病んでボロボロになってしまった37歳のゴッホを演じるのに大いに役立ったようだ。

変人・狂人と言われながら純粋無垢に生きた画家

   ゴッホは景色を見るために野山を延々と歩いたり、岩をよじ登ったりということを繰り返していたため、演じるデフォーも体力勝負のところがあったであろうが、そのなりきりぶりは「見事」の一言である。デフォー以上の適役は他にいないだろう。

   また、カメラはほとんどが手持ちで、時にスクリーンの下半分がピンボケしているなど、大胆な技法も採り入れられている。ゴッホの視線がそのまま映像化されているかのようで、観客はゴッホを追体験している錯覚に陥り、面白い。

   世間に理解されず、耳切り事件などのエピソードから、変人・狂人のイメージが現代まで続くゴッホであるが、その人柄には諸説ある。スクリーンに映る、ただ人を愛し、「自分だけに見える世界の美しさを誰かに伝えたい」という使命と情熱から絵筆をとった、純粋無垢な一人の画家の姿に親近感がわいた。

おススメ度 ☆☆☆☆

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