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読解力不足の子供が増加中!「このままではAIに取って代わられます」学者が警鐘を鳴らす理由

   きょう25日(2019年11月)のあさイチは「AI(人工知能)入門」がテーマだった。

   街中で目にする人型ロボットをはじめ、スマートフォンのアプリや家電など、徐々に身近な存在になりつつある一方で、「人間の仕事がAIに奪われる」というネガティブな声もよく聞かれる。

   絵空事だ、何百年も先の未来の話だと思う人も多いかもしれないが、そうでもないらしい。国立情報学研究所の新井紀子教授は、「AIは不完全だけれども、AIに代替される人材は相当多いと感じています」と警鐘を鳴らす。

実はAIの弱点は読解力にある、だから読解力を磨け!

   新井さんは2011年から「東ロボくん」というAIを育て、東京大学合格を目指すプロジェクトを率いてきた。大量の教科書や過去の問題を丸暗記するなど、猛勉強のおかげで一部の有名大学に合格できる知能は獲得した。ただ、東大に合格するには、AIに超えられない高いハードルがあったという。

新井さん「一番だめだったのが物理なんですが、何が難しかったかというと、文章の意味を理解しないといけない。例えば『走っている電車の中に人がいて、ボールを投げた』みたいな設定がある。そういう設定を論理的に理解しないといけない。意味、常識、普通というものがAIにとっては難しいんです」

   すなわちAIには「読解力」が不足しているということだが、新井さんが開発した「リーディングスキルテスト」で中高生の読解力を計ったところ、AIが苦手とする問題は多くの子供達も苦手としていることがわかった。

   例えば、「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。」と、「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。」という2文の意味は同じか異なるかという問題では、「異なる」が正解だが、中学生の正答率は57%にとどまった。

新井さん「情報が入ってきた時、意味をきちんととらえることができるか。意味というのは身近に引きつけて考えることができるかということだと思います。教科書を読んでいてもぼわぼわとしていて、何が書いてあるのかわからない状態で読んでいる。するとAIと似たような問題解決しかできず、よりAIに代替されやすい人材になってしまっている気がします」

家庭で子供の読解力を育むには?

博多大吉キャスター「こうなっているのもAIが関係しているんですかね」

東京大学の松尾豊教授「少し関係あるとすると、情報が増えてきていて、その中で何を必要とするかを瞬時に見分ける力の方が大事になってきて、一つの文を丁寧に読むという力が少し弱くなっているというのはあると思います」

ゲストの土屋礼央(歌手)「学校教育も変わっていかなきゃいけないのかもしれないですね、AI時代は」

   家庭で子供の読解力を育むために、新井さんは「大人同士の会話を聞かせる」、「自然を観察し、見たことを言葉で表現させる」、「新聞などのまとまった文章を書き写させる」ことを勧めている。