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反社会的勢力の定義はできません――「桜を見る会」言い訳できなくなって、反社の存在そのものを否定?

   安倍内閣は10日(2019年12月)、「反社会的勢力」の定義について、「その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定した。12年前に政府が作成した文書には、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」という指針が記されている。

   唐突な政府見解の変更が、「桜を見る会」の一連の疑念に関したものであることは、誰の目にも明らかだ。反社会的勢力が出席していたとされ、菅義偉官房長官は「反社会的勢力について、定義が一義的に定まっているわけではない」と発言していた。10日の会見では、記者から「発言によって政府見解を変えたのでは」と質問されたが、菅官房長官「まったくそうした事実はありません」と笑い飛ばした。

あいまいになる企業取引・契約の「反社排除」

   「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長の浜田敬子氏は「呼んだ人がどんな人か分からないはずないですよね。後で指摘されて『ヤバい』と思って、定義の方を合わせたとしか思えません」と話す。浜田氏は、定義があいまいになっていることについての危険性を指摘する。

   「企業は取引先や個人との契約時、反社チェックをします。反社的な行為があったときは契約を破棄するという一文も必ず入っています。定義がちゃんとしていないと、どこまで網をかけていいかわからなくなってしまうし、拡大解釈もいくらでもできてしまう。経済活動にも大きな影響がでます」

   玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「文書がありませんでしたということも含め、これはもう『あったことをなかったことにする症候群』という病理です。なんで定義があるのに、ないって言うのだろう」

   司会の羽鳥慎一「定めちゃいけないからでしょう」

   玉川「事実として反社会的勢力があの会にいて、それを知らなかったことにしたいわけだ。反社会的勢力は『ちょっと見では分かりません』というのが、『定義が定まっていない』ってことだから。それか、定義そのもがないから、(反社の出席という)指摘自体がおかしいってことなのかな」

   羽鳥「すべての問題で、『その言い訳は厳しいんじゃないか』というものばかりです」