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〈テレビ千鳥〉(テレビ朝日系)
千鳥の二人がとてつもなくゆるくて、それでいて吹き出すような笑いを生んでくれる

   大悟とノブ、千鳥の二人が毎回様々な企画に挑戦するロケバラエティ番組。

   今回は「美味しいサンマが食べたいんじゃ!」という大悟の願いを叶える企画だ。なぜかサンマより脇に乗せる紅葉が緑なのが気に入らない大悟。赤い紅葉を探しに、雨の降る中、東京・世田谷の住宅街を散策する大悟とノブ。マイペースの大悟は、気温6度の中、なぜか紅葉ではなくレモンが実る庭先を発見。汚れたツナギ姿のまま、レモンをわけてもらえないか、他人の家に交渉へ向かう。大悟の行動はボケなのか天然なのかわからない。

   「レモンは先約があるから」と、家にいた女性に断られ、やんわりと揉める。しかし最後はレモンをもらうことに成功する大悟。これだけのやりとりがなんか笑える。そう、このなんでもないやりとりなのに、大悟がやると笑いに変わるのが「テレビ千鳥」の醍醐味である。

   さらに雨の中、今度は他人の家の花までもらおうとする大悟。サンマを食いたいはずなのに、なんでもかんでも添えようとする。かりんを発見し、またも驚く女性の家にいきなり取材にいく大悟。紅葉はといえば、茶色の枯れたものしかまだ見つけられていない。途中、マンションから顔を出す若いお兄さんに声をかける大悟、その後ろからは彼女が現れる。すかさず下衆な下ネタに走る大悟。これも深夜テレビならではの展開だ。

環八通りを見て「開発しすぎだ!」と道路にツッコミ

   途中からグダグダと見つかるはずもない紅葉を探す二人に、今回は企画がまずかったのかもしれないと、観る方も不安になる。しかし番組終盤にきて、奇跡的になんとか赤い紅葉を発見する。ところが「まだやな!」と、紅葉の赤さに不満を漏らす大悟。たまりかねたノブが、不穏な空気を一変すべく、まさかの藤井隆の替歌を披露するがスベってしまう。

   その上目に入った環八通りを見て「開発しすぎだ!」と道路にツッコミをいれ、とにかく目に入るもの全てをツッコミだす始末。もう企画がなんだったかわからなくなるが、二人のこのゆるいやりとりで、なんとなくウケてしまうから面白い番組なのである。

   今この千鳥の二人がなぜ旬な芸人なのかわかってくる。二人はとてつもなくゆるくて、それでいて吹き出すような笑いを生んでくれるのだ。妙な安心感が、二人の笑いの中に存在する。これからもそんな二人をゆっくり見守りたくなるような深夜番組である。

   結局赤い紅葉は見つからず、一番赤かったであろう紅葉を戻って手に取り、さらにもらったレモンを絞ってなんとかサンマにありつく。ロケ時間3時間。とりあえずまとまる。そしてようやくサンマを食べた大吾の感想は「サンマが冷たい。紅葉狩りでサンマ台無し」だった。本当に終始ゆるい。でもこのゆるさと、大悟のゆるいボケが本当に良い番組である。(2019年12月10日(火曜日)25時56分放送)