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長距離用「ピンクの厚底シューズ」東京五輪では使用禁止!?世界陸連が「走力補助」の疑念

   陸上長距離界を席巻しているナイキのピンクやオレンジ色の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」が、東京オリンピックでは使用禁止になるかもしれない。英国メディアがきのう16日(2020年1月)、「世界陸連がヴェイパーフライシリーズの使用を禁止する新たな規制を導入するとみられる」と報じたのだ。

   ヴェイパーフライの最初のモデルは2017年に発売され、これまでに3つのシリーズが出ている。靴底が3層構造になっていて、中にあるスプーンのような形状のカーボンファイバー製プレートが前方向への推進力を生みだす。最新モデルは1足3万250円。都内のスポーツ用品店では、入荷するとすぐに売り切れる人気ぶりだという。

「ヴェイパーフライ」履くとマラソン2時間切り

   2018年の東京マラソンで15年ぶりに日本記録を更新した設楽雄太選手、その7か月後にさらに日本記録を更新した大迫傑選手、2017年に世界記録を更新し、2019年には非公認ながらマラソンで初めて2時間を切る記録を出したキプチョゲ選手らは、ともにヴェイパーフライを履いていた。今年(2020年)の箱根駅伝では出場した選手の8割がヴェイパーフライを履き、区間新記録が続出した。

   ヴェイパーフライを履いてランニングマシーンで走ってみた大竹真リポーターは、「自分の力だけではなく、自然に前に押されている力が加わっているような走りになってきますね」と話す。

   世界陸連の規則は「使用される靴は誰にでも比較的入手可能なもので、不公平な補助やアドバンテージをもたらすものであってはならない」と定めている。この「補助」や「アドバンテージ」にあたるという疑念だろうか。世界陸連はヴェイパーフライについて、専門家などと協議を進めており、数カ月以内に結果を出すという。

「もはやシューズじゃなくてマシーン」

   かつて箱根駅伝を走り、陸上を26年間取材しているスポーツ報知の竹内達朗編集委員は、「『もはやシューズじゃなくてマシーンだな』と言っている監督もいます。厚さは制限をかけるしかないのかなと思います」という。

   カーボンプレートを入れて厚底にしているメーカーは他にもあるが、「履いてみたところ、ヴェイパーフライほど前に進む感じはしませんでした。ヴェイパーフライは技術力が1~2年先行しているという感触です」と竹内氏は話している。

   男子マラソンに内定している中村匠吾選手は、「選手としては決められたルールの中で対応します。どのような結果になっても、自分の力を発揮するだけ」と話している。竹内氏も「規制するなら、早く世界陸連に結論を出してほしいという声が多いです」と話す。

   大畑大介(ラグビー元日本代表)「選手にとってシューズはとても大事ですよね。(決定まで)時間がかかると、(新しい)シューズにアジャストできず、本来の力が出せなくなってしまいます。早く結論を出して気持ちよくレースをさせてあげてほしいですね」

   司会の加藤浩次「やるのは選手。靴が勝手に走るわけじゃないのだから、選手のことを一番大事にしてほしい」