2024年 4月 19日 (金)

増え続ける医療費!年間1億2602万人×34万円・・・暮らし、財政、健保はパンク寸前

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   現在、1人当たりの年間医療費は平均33万9900円で、平成元年と比べると2倍以上になっている。これが1億2602万人分だ。各健康保険組合の年間保険料も平均すると49万3854円で、この10年間で約11万円増えた。国民も国も自治体も健保も、増え続ける医療費負担に耐えられなくなってきた。

   広島市は医療費の2割を占める薬剤費に注目し、65歳以上の市民約37万人を対象に、医療費削減に取り組んでいる。9種類以上も処方されている市民の薬を薬剤師がチェックして、効果の同じ薬が重複していたり、飲み合わせの悪い薬の見直しを病院に提案するようになった。

   3つの病院から合計12種類の薬を処方されていた80代の男性は、見直しによって9種類に削減。年間3万円の負担減となった。広島市の医療費は9年間で21%増加したが、国全体の27.6%よりは低い。

   兵庫・三田市は小中学生の医療費を1年半前に有料化した。三田市でも5年前、子供の医療費の無料化をスタートさせたが、それ以降、受診する子供が増加し、市の負担は年間で5600万円増えた。

   無料化で不要不急の受診が増えたのではないかと考えた三田市は、批判は承知で、有料化によって市民の医療への意識を変えようと考えた。24時間体制の電話相談を設け、症状が軽い人が病院に行くべきかどうかを医師や看護師などに相談できるようにしたのだ。中学生以下の受診件数は1万2000件も減少し、医療費は8600万円削減された。

3分の1が生活習慣病の治療費

   一番の課題は急速に進む高齢化への対応だ。厚生労働省によると、世代別の1人当たり医療費は高齢になるほど高くなっており、80歳以上で92万円、85歳以上で104万円となる。こうした現状を受けて、国は75歳以上の窓口負担を一定の所得以上の人は2割に引き上げる方針を示した。

   社会部の山屋智香子記者は「窓口2割負担も、それだけで今後を乗り切れるとは思えず、厳しい状況が続くと思われます。医療保険制度が維持できないと、患者の負担が重くなり、これまで通り医療を受けられなくなる人も出てくる恐れがあります」と報告した。

   大阪大学大学院招聘准教授の野口緑氏は「広島市や三田市の事例は、政策を通じて市民一人一人に、本当にその医療は必要なのか、本当に今でないといけないのかということを考えるきっかけを作ったのではないでしょうか」と話した。

   診療費はどんな病気に支払われているのか。糖尿病や高血圧などの生活習慣病に34.6%が使われている。野口准教授によると、生活習慣病が重症化して入院するケースは2%だが、その費用は医療費の3分の1を占めている。入院する人を減らせば、医療費の伸びを抑制できるという。

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   生活習慣病を防ぐことで、医療費を抑えていこうという取り組みが各方面で始まっている。大阪・茨木市は、健康診断の尿酸値や血圧、血糖値などを記入した独自の「健康チャート図」を配っている。要注意は黄色、危険な数値には赤い色が付けられている。黄色や赤の数値をたどっていくと、どのような病気につながるかが一目でわかる。野口准教授と大阪の7つの自治体が進めている試みだ。

   生活習慣病を予防して医療費を抑えることは、サラリーマンが加入する健康保険組合にとっても大きな課題だ。JTは160万人分の医療データ、性別、年齢から医療費を予測する仕組みを利用して、社員が1年でいくら医療費を支払うことになるかを示している。コレステロール値に「要注意」がついた44歳の男性社員は、「自己負担が2万2000円かかる」と診断された。男性は生活習慣を改め、食事と運動に気を使い、体重を3キロ減らしたという。このシステムは現在、85の健康保険組合で導入され、約41万人が利用している。

   野口准教授は「自分でデータを見ることによって、どんな行動を起こしたらいいのかわかります。5年後、10年後に大きな病気を起こさないことで、結果として医療費の抑制につながるんだということを一人ひとりが知り、意識や行動を変化させていくということが重要なんです」と話した。

NHKクローズアップ現代+(2020年2月4日放送「どうする?健康とお金 私たちの医療費は...」)

文   バルバス
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