新型コロナウイルスによる肺炎は、感染しても症状が軽かったり無症状だったりする期間が長く、重症化するまで気づかれないことが多いという。2人の患者を治療した京都市立病院の医師は「本当の風邪ならばもっと早くよくなってもいいかなという人の中に、新型コロナウイルスの患者が隠れている場合があります」と話す。咳などの症状が出てから重症化するまでに1週間以上あったりする。
WHO(世界保健機関)によると、重症になるのは14%、命に係わる状態に陥るのは4%と報告されている。2003年のSARSの流行時、WHOでウイルスの封じ込めを指揮した東北大学医学系研究科の押谷仁氏は、「新型コロナウイルスは巧妙で、油断させて悪さをする」というやっかいな特徴を持っているという。
インフルエンザウイルスは鼻や喉など上気道で増殖し、飛沫感染しやすい。SARSは肺で増殖し、飛沫感染は起こしにくいが、重症の肺炎を引き起こす。新型コロナウイルスは上気道でも肺でも増殖し、飛沫感染しやすく、免疫が低下していると増殖を抑えられずに重症化する。「今の段階でできることは、いかにして救える命を救うかということ。そのためには、重症化する人をできるだけ早く見つけて、集中治療するかがカギになります」と押谷氏は言う。
東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「ウイルスの増殖が少ないと、検査で陽性が出ないこともあり、重症化して初めてわかります。陽性が判明するまで長い時間がかかるのが、このウイルスの特徴です。その間に、新たな感染が発生しやすい」と注意を促す。
症状の出方には個人差がることもわかってきた。中国疾病予防センターが発表した4万4000例の発症者のデータによると、年齢別致死率は高齢になるほど高い。心疾患、糖尿病、呼吸器疾患の持病があると10倍近くにもなる。
厚生労働省のまとめた相談や受診の目安は、風邪の症状や37.5度の発熱が4日以上続き、強いだるさ、息苦しさがある人は都道府県の「帰国者・接触者相談センター」に相談するように呼びかけている。高齢者、持病がある人、免疫抑制剤や抗がん剤を使用している人は、2日以上が目安だ。
武田真一キャスター「4日間も我慢するのでしょうか」
賀来特任教授は「2~3日でもつらいので、かかりつけの医師に相談の電話をしてほしい。少しでも症状がある場合は、会社や学校は休み、外出を控える必要もあります」と話した。
※クローズアップ現代+(2020年2月18日放送「見えない感染"何が起きているのか ~新型肺炎・最新報告~)