2020年 10月 20日 (火)

「親から虐待」大人になっても心の傷癒えず人間関係が苦手・・・上司から叱責でフラシュバック

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   幼いころに親から虐待を受け影響で、大人になっても傷がいえずに苦しんでいる人が少なくない。児童虐待事件は、去年(2019年)9万7000件(警察庁まとめ)と過去最悪だった。しかし、事件が起きたときは注目されても、「虐待後をどう生きるか」に関心が寄せられたことはほとんどなかった。

   生活保護を受け、一人暮らしの21歳男性は、自分がどこで生まれたのか記憶がない。「父親がDV(家庭内暴力)だったらしい。自分ではまったく覚えていない」とつぶやく。強い心理的ストレスのせいで記憶を失うことがあるのだ。

   覚えているのは、小学生のころに不登校で学校からよく電話がかかったことぐらい。「電話が怖い。トラウマなんですよ」と言って、多くを語ろうとしないし、語れない状態でもある。高校卒業後に就職したが、人間関係を築けず、辞めた。今の暮らしを抜け出したいと思いながら、「どうしていいかわからない。不安がぬぐえない」という。

「ここしか居場所ない」半グレ組織に誘われ実刑判決

   別の21歳男性は小学生の時に両親が離婚、引き取られた父親から毎日のように激しい虐待を受けた。「死ぬかと思った経験を何度もしました。暴力を日常茶飯事的にやられました」と話す。

   高校卒業後に就職した工務店で、上司に叱責された時、父親からの虐待がフラッシュバックし意識を失った。これをいくら説明しても理解してもらえず、仕事を辞めた。ネットカフェで寝泊まりていたころ、半グレ組織に声をかけられ、「居場所はここしかない」と思ったという。「関係が壊されるつらさを知っているから、誘いに乗るし、やれることはすべてやった」と告白した。去年、違法薬物の使用で実刑判決を受けた。

   宮崎県の自立援助ホーム「ウィング・オブ・ハート」の施設長、串間範一さんは、ホームで共同生活する5人のうちの17歳女性が心配でならない。彼女はSNSで不特定多数の男性と知り合い、性的関係を繰り返す。門限の夜10時を過ぎても戻らず、2日後に帰ってきたときは、妊娠していた。父親はだれかわからない。

   彼女が生まれて、すぐ両親が離婚した。母親は10年にわたり育児放棄だった。養護施設にいても、寂しくなると抜け出してしまったらしい。串間さんは「何度言っても分からないのは、心配されるとか、待っていてくれる人がいるとかの経験がないからです。無条件で愛情を感じなければならない時代が空白だったんです。1年や2年で癒されるのはむずかしい」と語る。

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