J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

新型ウイルス最強防備法!とにかく人の集まるところへ行くな――インフルに比べて空中に残りやすい

   政府の専門家会議は「この1~2週間が新型コロナウイルスの感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際」としているが、多くの医療関係者は楽観していない。

   東京・墨田区保健所はPCR検査とともに力を入れているのは、感染の疑いのある人の行動調査だ。体調を崩した日から2週間さかのぼり、立ち寄った場所や接触した人など、本人から細かく聞き取り調査を行う。さらに、その人が接触した一人一人からも話を聞き、必要に応じて外出の自粛や衛生管理の徹底を促している。行動範囲が区を越えていても他の区と情報を共有しながら調査を進めていく。検査をした人が陽性だったら、濃厚接触が疑われるすべての人の健康状態を2週間注視し続ける。

   北海道大学の西浦博教授によると、110人の感染者を分析した結果、83人は誰にもうつしていないことがわかった。では、感染はどう広がったのか。2人以上にうつしていた11人を分析すると、ほとんどのケースが屋内の多くの人が集まる閉ざされた環境で起きていた。

   北海道・北見市で2月中旬に行われた住宅設備関連の展示会は、体育館ほどの広さの施設に約700人が参加し、そのうち10人が感染していた。1人から多くの人に感染が広がる「クラスター」(集団感染)は閉鎖空間で発生し、北海道だけではなく、全国で起きているのではないかと西浦教授は危惧している。

   東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「新型インフルエンザウイルスと比較して、環境中に残りやすいのだと思います。3月いっぱいは感染を防ぐ行動をとることが大事だと思います」と話した。

重症化しても受け入れ病院はいっぱい

   医療現場では、患者が受け入れられる上限を超え、重症や重篤の患者に適切な医療を提供できなくなるのではないかという不安が広がっている。現在、新型ウイルスに対応した感染症指定病床は全国で1871。患者は原則として重症でも軽症でもここに入院することになっている。クルーズ船の患者など重症2人を含む12人が入院していた国立国際医療研究センター大曲貴夫センター長は、「外来診療をしながら集中治療も行うのは大変でした。キャパを超えれば対応できなくなる可能性もあります」と話す。

   感染者が相次いでいる旭川市立旭川病院が用意できるベッドは6つで、今ほとんどが埋まっている。そこで、市内のほかの病院が連携して受け入れ体制の整備を始めている。賀来教授は「今後のポイントは受け入れ患者数のキャパを増やすこと。病気は新型コロナウイルスだけではありませんから、これをやらないと、ほかの重症患者が救えなくなってしまいます。4月に入っても緩めることなく感染拡大を落としていく必要があると思います」と話した。

NHKクローズアップ現代+(2020年3月3日放送「新型ウイルス"瀬戸際"の現場で何が起きているのか」)