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<死にたい夜にかぎって>(TBS系)
自分中心の女と振り回される優しく臆病な男の同居物語...いるだろうな、こういう二人

   同棲している二人の出会いから別れまでの6年間を描く。「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」と高校の時に憧れの美少女に言われたのがトラウマとなり、うまく笑えなくなった浩史(賀来賢人)は、小さい頃に母親に捨てられ、父親からは虐待スレスレの扱いを受けて育った。自己評価が低く、やさしく臆病だ。

   そんな彼がチャットで知り合ったアスカ(山本舞香)と同棲を始める。彼女は変態野郎に自分の唾を売っていて、うつ病と不安障害があり、どうも浮気もしている。もともと小悪魔的な魅力のある子だが、精神的に不安定で、夜ごと浩史は首を絞められるし、嘘はつかれるし、要するに振り回されっぱなしである。

   浩史はアスカのことをすべて受け入れ寄り添おうとするが、あるときアスカの作る曲、音楽性を否定してしまう。破局への予感。

極上の青春恋愛ドラマ

   この二人、ゴールデンタイムに放送される恋愛ドラマの恋人たちとは全く異なる。アスカは本音しか言わないし、媚びないし、浩史も情けなくてマッチョのかけらもない。でも、こういう二人、いるだろうなと強烈に思わせるリアルさがある。

   浩史は風俗に通い、ペットであさりを飼う。彼の職場はラッパーばかりなどなど、実話のドラマ化なのだけれど、きれいごととは無縁のぶっ飛んだ状況が逆にリアルさを出しているのかも。

   別れることがわかっていても、二人の幸せを願ってしまう、極上の青春恋愛ドラマだ。(3月25日深夜1時40分)

    かたくりこ