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新型ウイルスに化けの皮はがされた小池都知事...コロナ便乗でちゃっかり都知事選の事前運動

   人間はパニックになった時、その本性が現れる。新型コロナウイルス感染拡大は、この人間というどうしようもない生き物の化けの皮を次々剥いでいるようである。 「命ファースト」と会見やCMに出まくって、強いリーダーとして売り込むことに躍起な小池都知事に対して、週刊文春、週刊新潮ともに、売名が過ぎる、「命より五輪」だったために感染対策が遅れたと、非難している。

   このところ、小池知事のCMが奔流のように流れているが、6月(2020年)に告示される都知事選の政見放送のようで、選挙の事前運動にならないのかと週刊文春は問いかける。 フジテレビと日本テレビは、「緊急事態」のために放送するという方針を固めたそうだが、この不況下で、こんなありがたいCMをテレビ局が放送しないわけはない。

   週刊文春は、CM作りの予算の出所に疑問アリだという。東京都は4月8日、緊急事態宣言に伴い、都の予備費、約12億円を使ってコロナ対策を行うと発表した。柱は児童支援と情報発信強化だというが、都が作成した資料によれば、5月6日までの「Web広告の拡充」に7000万円、「テレビ・ラジオCM枠の確保・制作」に5億6800万円、「新聞広告」に2億3800万円。つまり、緊急コロナ対策費のうち、実に4分の3を小池が出るCMなどの「情報発信」に使われているというのだ。

   アメリカのトランプも11月の大統領選に勝つために、湯水のごとく税金を使って、コロナ対策という名目の情宣活動をやっているが、小池も負けていない。五輪延期が決まるまで、小池の頭の中は、そのことで一杯で、<「感染拡大の分かれ道になると懸念された3月20日からの3連休前、厚生労働省クラスター対策班から『4月2~8日に患者が320人に増える可能性がある』という試算を受け取りながら、知事は無視していたのです」(都政担当記者)>(週刊新潮)

   小池はその不始末を隠すために、オーバーシュート、ロックダウンという強い言葉を発し、安倍官邸と対峙する姿勢を鮮明にした。国に先走って、居酒屋や理髪店、百貨店の休業要請をするといってしまった。安倍首相がそこまでは求めないというと、今度は、休業に応じる事業者には最大100万円の協力金を支払うといい出した。潤沢な財政を抱える東京ならできるが、そんな余裕のない他県の知事からは反発の声が上がった。

   だが、安倍や小池の"大盤振る舞い"も、自分の腹が痛むカネではない。国民や都民の血税である。施してやるという姿勢に反発を覚えるのは、私だけではないはずだ。 週刊文春は、小池の次に森田健作千葉県知事のお粗末さを挙げるが、こんなものは論じるまでもない。

こんな時こそ首相は不眠不休で国民のために働け!犬抱いてソファでくつろいで...国民を愚弄するな

   バカというウイルスはうつるようだ。「バカノマスク」ではない「アベノマスク」というふざけた策の発案者といわれる佐伯耕三首相秘書官が、またまた安倍にバカなことを吹き込んだらしい。ツイッターに、星野源が歌う映像に合わせて、安倍が自宅でイヌコロとくつろいでいる動画を投稿し、こうほざいた。「皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています」

   アップされた途端、「そんな優雅な自宅待機できる奴がどれだけいるのか。考えてみろ」(これは筆者の個人的な意見です)などという批判が殺到した。当然である。

   お次のバカは、極め付け......である。安倍首相が会見で「警戒を緩めることはできません」として、「三密」への注意を呼びかけた翌日、アホ恵ではなく妻の昭恵が、大分県宇佐市にある宇佐神宮を、ツアーに交じって参拝していたと、週刊文春が報じている。 それも、訪れた理由が振るっている。コロナで予定が全部なくなったからだというのだ。彼女を目撃した人間によると、「ノーマスク」だったそうだ。私のガキの頃、相手を揶揄する言葉に「ノーテンパー」というのがあったが、今の彼女に向けていう言葉は、それしかないと思う。

   次の男は「スケベ」を満天下に晒した。週刊文春によれば、4月9日の午後7時半、立憲民主党の高井崇志衆院議員(50)の姿が、新宿・歌舞伎町のXという「セクキャバ」にあったという。ここは接客する女性の身体に触ったり、ディープキスもできる風俗店だそうだ。

   国会で、安倍首相を「危機感がない」と厳しく批判していた当人が、"濃厚接触"を求めて風俗店へ入り、女の子に「SMプレイがしたい」「オナニーの見せあいっこしよう」とはしゃいでいたというのである。 言葉を失うというのはこのことだ。週刊文春の直撃に、本人は「気の緩みだ」と答えているが、議員も人間も失格だ。発売前に立憲民主を離党する届を出したが、議員辞職は免れまい。

「ロイヤルリムジン」全従業員600人解雇の詐欺!休業手当の代わりに失業給付もらえ

   お次もおバカの登場だ。新型コロナウイルスで疲弊している交通行政や観光業の対策に追われている国土交通省のトップである赤羽一嘉国交相(61)のことだ。国会でバス会社の経営難について聞かれ、「一件も潰さない」と答え、無責任だという批判が省内から出て「アカバカ」と呼ばれていると、社会部記者がいっている。それも公明党である。

   その赤羽国交相は4月4日、地元の兵庫県にある有馬温泉の高級旅館で開かれた、県内の旅館業や物産店の人間を集めた会合に出ていたというのである。兵庫県知事が「大阪や東京への不要不急の往来の自粛」要請を出していたが、兵庫はこの週末、感染者が急増しているのである。

   お次は「アコギ」な奴である。自民党の原田義昭前環境大臣が福岡県西部の筑紫地域の医師らに、医療用のマスクの販売案内を届け、そこには「高額になっております」という但し書きがついていたという。福岡県の業者がベトナムで生産する四層式のサージカルマスクで、販売価格は1枚110円。

   医療マスクの輸入・販売大手のファーストレイトの長谷川友彦社長は「百十円は途方もなく高額です」と嘆息している。<「政治家が地元への影響力を行使して一部の業者に不当に儲けさせているとすれば、倫理上の問題があると指摘を受けかねない行為です」(郷原信郎弁護士)>。こういうのを「火事場泥棒」というのである。

   続いては、「詐欺師」とでもいうしかない。4月7日に、東京のタクシー会社「ロイヤルリムジングループ」の金子健作社長は、全従業員約600人全員を解雇すると発表した。理由は、会社側が休ませて休業手当を払うより、解雇して雇用保険の失業給付を受けたほうがいいと判断したためだといった。 コロナ騒ぎが終息すれば再雇用したいといったため、「社員のことを考えている」と評価するメディアもあったが、解雇された人たちから、おかしいという声が上がったのは当然だろう。

   解雇された一人によれば、8日以降、社長は解雇という言葉を一切口にしていないという。その代わりに、失業給付をすみやかに申請するためだと、「退職合意書」にサインさせたそうだ。解雇の場合は、少なくとも30日前に解雇予告をしなければならず、行わない場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う義務がある。そうでないと「不当解雇」にあたる可能性があるのだ。

   労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は、「従業員の事実誤認を促して退職に追い込んだ印象で、経営責任を放棄した極めて悪質な事例です」と厳しいいい方をしている。

「コロナ離婚」じゃ済まなかった自粛殺人殺人事件――「あんたの稼ぎが少ない」と言われて妻殴打

   さて、このところ「コロナ離婚」「コロナDV」という言葉をよく聞く。4月5日、東京・江戸川区のマンションに住む、59歳の会社員の亭主が、カミさんと飲んでいて、彼女のいった一言でカッとなり、平手でカミさんの頭を殴って死亡させる事件が起きた。週刊文春によれば、普段は、近くの居酒屋で2人で酒を呑み、孫を可愛がる夫婦だったという。だが、このところのコロナの影響で、妻のアルバイトも減ってきて、生活への不安があった。

   亭主を怒らせた言葉は、「あんたの稼ぎが少ないのよ」だったという。気持ちはわかるが、「それをいっちゃお終いだ」よ。

   他人事ではない。わが家も「コロナ離婚」の危機にある。といっても、年中危機にあるのだが、とくに昨今は、切迫してきている。普段は、週に6日はオフィスにいるから、カミさんと顔を突き合わせるのは日曜日ぐらい。それも夕方まで競馬で忙しいから、2人の会話は極めて少なくて済む

   先週、帯状疱疹になったこともあるが、家で仕事をしたり、本を読んでいる。こんな生活は結婚40年になるが、初めてのことだ。どうカミさんと付き合えばいいのか、毎日試行錯誤である。彼女のほうも、いつもなら趣味の仲間と会えるから、外で鬱憤が晴らせるから何とかなるが、コロナはいけませんな。

   出るのは買い物だけで、四六時中家にいると、一触即発の危機が日に何回かある。老々離婚しても、相手がいるわけでもないからなと、自分をなだめている今日この頃である。

   家にいると、嫌でも朝はワイドショーを見ることになる。見るたびにテレビに向かって怒っているのだが、これも身体にいいわけないよな。それにしても専門家というのは、ときに、とんでもないことをいうものだ。

   厚生労働省のクラスター対策班は15日、新型コロナウイルスの感染防止策を何も行わなかった場合に国内で約85万人が重篤に陥り、約42万人が死亡するとの推計を発表したが、なんで今頃こんな極端な数字を出す必要があるのか。アホなワイドショーに便乗して、これ以上国民を怖がらせようというのか。いい加減にしてくれ。

   今朝のワイドショーでは、ノーベル賞受賞者というのが出てきて、PCR検査を全員に受けさせろといっていたが、どう頑張ったって1日1万人だよ。東京だけでも、まだ受けていないのは7~800万人はいる。終わるのに2年かかる。

   これは都心にある大学病院の院長だったが、満員電車はいけません、だから私は毎朝タクシーで行っているといっていた。おいおい、タクシー代は誰が払ってくれるんだよ。小池のところへ領収書を持って行けば、払ってくれるのか? こんな連中が、テレビという公器でたわけたことをいっているんだから、コロナ騒ぎはおさまりゃしないね。

富川悠太はジャーナリストとして失格!ウイルスの怖さリポートしながら自分は体調不良でも出演

   騒ぎといえば、テレビ朝日系の「報道ステーション」の富川悠太アナ(43)が、コロナに感染したそうだ。週刊新潮では、「入院中の富川さんの症状は深刻だと聞いています」(報ステ関係者)というから心配だ。

   富川は、在宅勤務だった4月3日から38度の熱があったが、すぐに平熱に戻ったため、6日から出演していた。だが、痰が絡むようになり、9日に番組のプロデューサーに体調不良を訴えたが、出演を強行し、翌日の10日に病院で肺炎と診断された。即、慶應大学病院に入院して、PCR検査を受けると、次の日に陽性反応が出たそうだ。 発熱から9日。富川にはきついいい方にはなるが、ジャーナリストとしては失格だろう。

   その後、チーフプロデューサーなどにも陽性反応が出ため、全スタッフを自宅待機させ、テレ朝本社を3日間封鎖する騒動になった。この肺炎の怖さは、スピードである。亡くなった大阪の毎日放送の取締役は、肺炎と診断されてから5日後、PCR検査で陽性が判明してから2日後という早さである。

   視聴者に、新型コロナウイルスの怖さをレポートしていた当人が、うすうすかかっていることを心配しながら、無理してテレビに出て、感染を広げたというのでは、後々の責任問題になるだろう。まずは早くよくなってもらいたいと思う。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。