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「台風と新型コロナ」ダブル災害怖い!避難所のクラスター感染防げるか

   新型コロナウイルスの感染拡大で、自治体は災害時の避難所の運用も見直している。避難所は「3密」そのものだからだ。北海道標茶町で3月(2020年5月)、大雨と融雪による川の増水で、住民200人が体育館に避難した。町は隣の人との間隔を2メートルとったというが、徹底できなかった。避難者が少なかったためか、コロナの感染は起こらなかった。町は、「普通の運営方法では無理」という。

   コロナウイルスは飛沫感染だ。避難所ではどのように広がるか、東海大の関根嘉香教授(室内環境学)の監修で、特殊カメラと飛沫発生装置を使って実験をした。くしゃみの飛沫は1.5メートル先に集中して飛んだ。そこを人が歩くとほこりとともに20cセンチ舞い上がった。飛沫は24時間は感染力を持つ。「避難所の固いツルツルの床ではウイルスは長く生きます。落ちた飛沫の対策が必要です」と関根教授はいう。

   高知県立大学の神原咲子教授(災害看護)は、最も有効なのはダンボールのベッドと間仕切りだという。床から35センチの高さがあり、間仕切りで「密」も避けられる。これに加えて、共用部分のスイッチ、ドアノブ、手すりなどを徹底的に消毒すれば切り抜けられるという。

   NHK社会部災害担当の清木まりあ記者は、感染リスクの高い場所として「掲示板、炊き出し、トイレなどを避けること。あらかじめマスク、体温計、アルコール消毒液と防寒具を用意しておいた方がいいですね」と伝える。

「分散避難」ホテル、マンション、車中、鉄筋住宅を活用

   感染が起こった場合はどうするか。桜井教授は「新型コロナでは、感染者を他へ移すのは問題が多いです。同じ避難所の中で、病院的な部分、中間的な人たち、元気な人たちと3つくらいに分けるのが実際的では」という。

   問題は人口の多い都市部だ。昨年(2019年)、台風19号による出水で、東京・足立区では135カ所の避難所に3万人があふれた。これに新型コロナが加わったら、破滅的な事態になる。東京大大学院の松尾一郎客員教授が提唱するのが、分散避難だ。民間施設やホテル、マンションなどの上層階、車の中、在宅のままなど、安全な場所を分散させようというものだ。足立区は運送会社と連携するなど、新たな避難所の確保に動いている。

   桜井教授は「コロナを100%逃れるのは無理。感染が起こっても、クラスターを大きくしないことが大切です。たとえ密集になっても、手を洗うなど完全にすれば、リスクは下げられます」という。

   武田真一キャスター「いま学んでいることが、防災に生かせるのではないかということですね」

   フィリピン沖で台風1号が生まれた。このところ、地震も続く。心配である。

   ※クローズアップ現代+(2020年5月13日放送「新型コロナ 災害避難をどうする」