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新型コロナ鎮静しても止まらない女性非正規切り!売り上げ激減で戻る職場も仕事ない

   新型コロナウイルスの営業規制で、宿泊・飲食サービスで23万人、卸売り・小売で16万人の非正規雇用の女性たちが職を失った。百貨店の食品売り場で派遣社員として働く47歳の女性は、売り上げ半減で契約の更新は難しいと言われた。88歳の父と同居していて、手取り20万円の給与と父親の年金8万円が収入だったが、いまは月に約7万円しかなく、預金残高も2万3799円と底をついた。月末の家賃5万8000円が支払えるかわからない。

   労働組合の力を借り、休業手当を求めて派遣会社と交渉することにした。だが、会社側は「通常なら払うが、今回は会社都合ではなく、不可抗力。会社自体も売り上げが5分の1に落ちて払えない」と言う。国の雇用調整助成金の制度はあるが、入金されるまで資金が持たないとされた。さすがに、派遣会社もいまは休業手当の準備をしているという。

   46歳の女性はこれまで3つの仕事を掛け持ちしていたが、コロナで2つを失い、収入は2割減となった。現在は88円で買ったパンを5日分のお弁当として食べている。

   日本女子大学人間社会学部の大沢真知子教授は「リーマンショックでも派遣切りがあったが、多くは男性。今回は女性の非正規が解雇され、初めて女性の非正規が社会問題になったと捉えています。母子家庭も増え、セーフティネットがない女性非正規は、どうやって生活を維持するかということが大きな問題になっています」と指摘する。

正社員もリモートワークで家事・育児負担増加

   支援や制度が機能していないのは非正規社員だけではない。2人の子供を出産し、6月から仕事復帰予定だった30代女性は、正社員として働いていた会社から、突然、事実上の解雇を言い渡された。新型コロナウイルスの影響で業績が悪化したため、復帰してもポジションはないと連絡を受けた。商社に勤める夫の収入を見込んでマイホームを購入し、月々15万円のローンを払っていたが、女性の収入が見込めなくなり、貯金を取り崩すしかなくなってしまった。

   ベンチャー企業で働く女性は、大手メーカー勤務の夫と共働きしながら、小学校1年と2歳の子を育てている。コロナの影響で夫婦とも在宅勤務になっているが、小学校が再開され妻の負担は増えた。夫は8時から勤務なので、小学校の送り迎えは妻。2歳の子供の世話もある。子供の教育の負担もある。夫は頻繁にオンライン会議が入り、日中に子供の世話をするのはほぼ妻だ。自分の仕事に集中できるのは、子供が寝静まった夜になる。制度が整備されないままのリモートワークは、働き方の新たな負担を生んでいる。

   ※NHKクローズアップ現代+(2020年6月9日放送「"新たな日常"取り残される女性たち」)