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米中対決の舞台裏――トランプも習近平もコロナ対策失敗の目くらまし!板挟みの日本どうする?

   新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、これまで安全保障分野や5Gをめぐる覇権争いなどで対立を深めてきた米中関係がさらに悪化している。トランプ大統領の中国批判に対して、コロナ対策担当の厚生省の元長官アンディ・スラビット氏は「大統領には国内で高まる自らへの批判をそらす狙いがあるのではないか」と指摘している。

   新型コロナウイルス対策では、トランプ大統領の楽観視と初動の遅れの結果、感染者数も死者数も世界最悪となった。経済も深刻な打撃を受け、失業率は世界恐慌以来最悪の水準まで高まっている。この失政から国民の目をそらすために対中強硬姿勢を打ち出しているというわけだ。

   一方の中国も、国内でヒットしたアクション映画「戦狼」になぞらえて「戦狼外交」と呼ばれる強気外交を展開する。こちらも、新型コロナ対策で後手に回った習近平指導部への批判をそらす狙いがある。

   東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授は、「そんな中で行われる米大統領選では、両トランプ、バイデン両陣営とも中国叩きをしています。どちらが勝っても、米中対立がほどけなくなりかねない」と懸念する。

グローバル化の落とし穴

   そんな中で、日本はどう動けばいいのか。米国は今年のG7の議長国で、トランプ大統領はG7のメンバーに加えて、ロシア、韓国、オーストラリア、インドの4カ国をサミットに招待し、中国について話し合いたいとしている。中国包囲網を形成しようとしているという狙いであることは明らかだが、日本は板挟みだ。

   佐橋准教授はキーワードは経済と貿易の「デカップリング(分断)」だと見る。「中国製品は使わない、中国のサプライチェーンは見直すということ。(新型コロナのパンデミックで浮き彫りになった)生産の一国依存のリスクということで、見直しが求められてきます。ただ、難しいのは、グローバル化の中で、つまり生産依存してきた中で、どこで線引きをするかということ。日本政府も見極めが求められていくでしょう」と話した。

   ※クローズアップ現代+(2020年6月16日放送「パンデミック下の米中対立~国際協調が求められる時代に~」)