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「エール」番外編の双浦環「パリの悲恋」に絶賛の嵐 「凛として美しい柴咲コウ」「珠玉の贅沢な時間だった」「本編の主人公夫婦がかすむ圧巻の演技」

   NHK連続テレビ小説「エール」の第59・60話が18・19日(2020年6月)に放送され、柴咲コウ演じるオペラ歌手、双浦環の過去のパリでの悲恋物語にネットが沸いた。

   環が世界的なオペラ歌手になることを目指してパリに留学した若き日の夢と恋を前後2編で描いた。環はホームパーティーで日本人画家、今村嗣人(金子ノブアキ)と出会う。新進気鋭の画家として注目を集めていた嗣人。2人は恋に落ち、環は歌手を、嗣人は画家を夢見る日々を送った。

  • 環と嗣人のパリの恋(NHK「エール」の番組ホームページより)
    環と嗣人のパリの恋(NHK「エール」の番組ホームページより)
  • 環と嗣人のパリの恋(NHK「エール」の番組ホームページより)

「俺は、君という光の影でいるのは耐えられない」

   環は、世界的舞台に立てる最大のチャンス、オペラ「蝶々夫人」のオーディションを受けて落ちた。しかし、環の美貌と歌声は評判となり、注目を集めるようになる。一方の嗣人は個展を開くが、新聞から「ただただ凡庸。すべてがものまね」と酷評されて自信を失う。

   やがて環はオペラハウスで上演される「蝶々夫人」のヒロインの座をつかみ取るが、嗣人は彼女を祝福できなかった。嗣人は嫉妬にもだえ、「俺は、君という光の影でいるのは耐えられない。歌をあきらめてくれ。君を愛している」と懇願した。しかし、環は嗣人と別れて「光」でいる道を選んだのだった。

   ネット上では「映画のように濃厚なドラマだった。30分ではもったいない」「こっちを本編にしてほしかったくらいステキ!」「スピンオフで1本2時間ドラマ作ってほしい」という声であふれた。

   「もし二人の物語が映画なら。自暴自棄になった嗣人さんは、お酒に溺れてアル中になり、しまいには薬物にまで手を出してしまい、自ら命を絶ってしまっていた事でしょうね。はかなく堕ちていく男性はとても愛おしく、そして美しい...」

   「お互いに光でいたいタイプ。どちらかが影になれるタイプでないと無理。別れる芸能人夫婦によくあるパターン。ドラマの2人は、お嬢ちゃまとお坊ちゃま育ちで、いつも主役で陽のあたる道を歩いてきた。でも、ちょっと環さんは無神経な女性のようにも思いましたね。彼が『ただただ凡庸、ものまねのような作品』と散々酷評受けた紙面を見ていたのに、直ぐその後、自分の朗報を嬉しそうに話すのはちょっとね。彼を慰めてからにしてほしかった。自分が天才なせいか上辺の言葉が多いでしたね。嗣人の『もう、こんな女性にはめぐり逢えません』は素敵な言葉でした。逃した獲物は大きいです。嗣人のカードゲーム仲間に藤田嗣治のような風貌の方がいて、『環さんのような恋人がほしい!』って、なかなか楽しい演出でした。2人とももっともっと素晴らしい恋の遍歴をしてね。人生これからです!」

最後の環の絵に「蝶々夫人」と「かぐや姫」を重ねていた

   「私は両方の気持ちがわかるので、もっとこの二人を長く見たかった。嗣人は大金持ちのお坊ちゃまの設定。何不自由なく育ったので挫折なんて知らなかった。だからいつも自分が主役、『陽と陰』の陰になることなんて考えもしなかった。だから嫉妬と悔しさに狂ったのかもしれない。金子さんの演技が素晴らしい」

   「印象深いキーワードがポンポン閃くストーリー展開でした。最後に登場した環の絵に、蝶々夫人とかぐや姫を重ねていた。『私は光でいたい』というセリフもかぐや姫に繋がっている。『自分に嘘をつくことが最大の罪です』というセリフは、『自分の才能を最後まで信じることが大事』と言い換えることができる。個展を酷評されたせいで自分を見失った嗣人。最終オーディションの結果を伝える時、『ある』『ない』とまるで花占いでもしているかのような環のケセラセラぶり。あのプッチーニですら、オペラ公演で大コケしたというのに。嫉妬に狂った嗣人。『おめでとう』の一言が言えず。自分の作品を道具で突き刺した自傷行為が痛々しい。金子さん、圧巻の演技だった。環を描いた絵を見ながら、何か遠くの方を眺めている眼差しが印象的でした。ぜひ環と日本で再会して欲しい」

   「期待に胸膨らませた初の個展が酷評され、打ちのめされた心に突き刺さる環の無邪気な笑顔。カフェでの個展を提案され、再び差し込んだ光さえ、彼女の朗報に忽ち霞み、また暗闇へと突き落とされる。相手の成功を喜びたいのに、湧き上がるばかりの嫉妬心。そんな自分に苛立って、最愛の人に激昂して、更に自己嫌悪の渦へと堕ちてゆく嗣人。『歌を諦めてくれ...。』と懇願する彼を、ただ抱き止めるしかなかった環。自ら『光でいたい。』と願った環。『それが君の人生だ。』と穏やかに微笑むカフェのマスター。その瞬間、『芸術の道を究めるなら、他人に惑わされない』という彼の言葉が鮮烈なまでに脳裏に蘇りました。残された環の肖像画。どれほど請われても首を縦には振らなかった嗣人の彼女への想い。僅か15分とは思えない、映画鑑賞後のような充実感。米海軍士官との燃える様な恋に生き、やがて悲劇の末路を辿る蝶々夫人の魂の叫びと共に、心に深く沁み入る、まさに珠玉のサイドストーリーでした」

環には「悪女サロメ」のような「覚悟のある人」を期待した

   また、こんな声もあった。

   「分野は違えども同じ芸術家としてこの状況になれば、平常心ではいられないと思います。人間は綺麗事だけでは済まされない、例え相手が大切な女性であっても。という演技が見事でしたね、さすが金子ノブアキ。見いってしまいました。私は本編の夫婦にいつも疑問を感じていたので、今回の話のほうがよかった」

   「嗣人の自己嫌悪が他人事と思えない。私もかつて或る道を志していたが挫折を味わった。嗣人との違いは、私は才能があったが心からの応援がなかった。うちのヨメさんは、口は達者だがエールでないのだ。『君の前にいる自分が嫌になる』の嗣人の気持ちが私ほど分かる人間はいないだろう。夫を理解して支える音がヨメさんの裕一は幸せ者だ。だから裕一と音の心のエールが待ち遠しい。毎朝の15分でも私は幸せになりたい」

   一方で「残念だった」という声も。

   「残念な回だった。本編とのつながりを考えた時、環と嗣人の別れは、環を悪女にして『外面如夜叉内面如仏』の設定が必要でした。環が徹底的な悪態をつき、嗣人の下を去る、環も嗣人も各々、絶望の底に堕ち、そこから環はプリマの頂点を目指し、嗣人は覚醒して画家として生きる。そう、環には悪女サロメを期待しました。わが国では、松井須磨子が演じた、あのサロメ。芸術座の座長島村抱月と不倫関係にあり、島村の死の直後に自ら命を断った、あの松井須磨子。音と千鶴子の前に現われた巨大な壁、双浦環には、それくらいの過去をもった『覚悟のある人』を期待していました」(テレビウォッチ編集部)