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ウィズコロナ時代は働き方もカイシャも大変革!テレワークでわかった仕事でいらないモノいらないヒト

   ウィズコロナ時代、働き方が大きく変わろうとしている。顧客企業の新規開拓を支援する「オンリーストーリー」は、新型コロナの感染拡大をきっかけにテレワークを導入し、業績を大幅に伸ばしている。これまで外回りを担当していた社員は、今ではすべての商談がオンラインだ。

   以前は、通勤や移動時間などに平均4時間を費やしていたが、テレワークのおかげで、その時間を資料の作成や新規企業のアポ取りなどに充てられるようになった。その結果、商談の成功率は7%から32%に上昇し、月間の契約件数は過去最高の7件に伸びた。

   課題も見えてきた。管理職の負担が増してしまったのだ。15人のチームをまとめるマネージャーは、テレワークで業務の割り振りや進捗状況の確認をどう行うべきか頭を悩ませている。ミーティングやメールの数が増え、業務量は大幅に増えている。

   テレワークでの仕事ぶりをどう評価すればいいかという問題も生じた。そこで、新たに導入したのが「自慢シート」。売り上げなどの数字で示せる成果と、工夫や努力など数字で示せない成果を記入するもので、これを全員で共有する。会議では自慢シートをもとに、その月の表彰者を社員たちが投票して決めることにしたのだ。

中間管理職は邪魔なだけ

   テレワークの課題である管理の煩雑さを、最先端のデジタルツールで解決しようという動きもある。子育て関連アプリを運営する「カラダノート」が導入したのは、社員のパソコンをチェックするツールだ。サイトの閲覧履歴やメールの送受信、印刷記録などをリアルタイムで把握できる。このシステムによって管理の負担は大幅に減った。

   テレワークで仕事を進めるには、中間管理職の存在がかえって邪魔になると、大胆な決断をした企業もある。企業向けのシステム開発を行っている「ソニックガーデン」で、4年前に完全テレワークに切り替えた。会社の組織は経営陣と社員の二階層しかなく、中間管理職が存在しない。それでも会社を円滑に運営できる秘密は、「バーチャルオフィス」と名付けられた独自のシステムにある。

   社員は業務に関するあらゆる情報をバーチャルオフィスにアップする。それらの情報はすべて社内でオープンにされる。社員は上司に報告したり、部下から報告を受けたりする時間を取られることなく、システム開発に集中できる。経営陣の仕事は、働き方が労働基準法にのっとっているかなど、法律で求められているチェックを行うことだ。テレワークの導入にあたり、社員を評価することもやめた。

サイボウズ青野慶久社長「オフィス、出張、会議、資料印刷いららない。要るのは雑談」

   こうした「カイシャ革命」の波は日本を代表する巨大企業である東芝でも起きている。本社勤務や総務、管理部門などの従業員に原則テレワークを導入し、出勤を80%以上減らしている。製造現場に対しても出勤を15%以上削減するという方針を打ち出した。

   鉄道やダム、交通システムを制御する基盤などを製造している東京・府中の工場では、社会インフラを担うため通常通りに稼働し続けてきたが、現在は週休3日制の導入へ向けた議論を進めている。1日8時間で5日勤務すると週40時間勤務だが、これを1日10時間で4日間勤務に変える試みだ。東芝プラントシステム施設設計グループは、1カ月間の完全テレワークを試みた。こうした試みについて、車谷社長は「変われるかどうかが企業の命運を分ける。変化に対して適応できる能力があるものが生き残れます」と話している。

   ソフトウエア開発を手がける「サイボウズ」の青野慶久社長は、「"要るもの"と"要らないもの"を見極める」と言う。10年前に希望者全員をテレワークにしている。青山社長によると、要らないものは、たとえばオフィス、出張、会議、資料印刷で、要るものは雑談だという。導入したのは「日報」ならぬ「分報」。オンライン上にどんどん分報を書き込むことで、雑談が増え、新しい発想が生まれている。

   青山社長は「企業にとって大事なことから逆算して、要るもの、要らないものを考えていく必要がある」と訴えた。

NHKクローズアップ現代+(2020年6月23日「ウィズコロナ時代"カイシャ革命"であなたの仕事は?」)