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藤井七段、タイトル獲得に王手!「魔王」を追い込んだ一手に「前例がない」とヒフミンもビックリ

   将棋の藤井聡太七段(17)が28日(2020年6月)、棋聖戦の第2局で「魔王」の異名を持つ渡辺明三冠(36)に勝利し、史上最年少でのタイトル獲得に王手をかけた。その勝負で藤井七段が連発した「想定外の一手」に注目が集まっている。

   まず、解説者をも驚かせたのは、序盤の一手だ。「矢倉囲い」で守りを固めた渡辺三冠の守備的戦法に対し、藤井七段は「金」を斜め前に動かし4列目に。「王」の周りが手薄になるというハイリスクな奇襲に出たのだ。

   「将棋の定跡を覆すほど、新しい、珍しい手です」と藤井七段の師匠・杉本昌隆八段。ヒフミンこと加藤一二三九段も「藤井七段が研究していた新手です。過去に例がないもの」と話す。

あえて素人っぽい一手で渡辺三冠の調子狂わせた?

   昼食後に再開した対局では、今度は素人っぽさ全開の一手で、渡辺三冠を揺さぶる。渡辺三冠が六列目に「角」を張ると、藤井七段は23分の熟考の末、自分の「金」の斜め後ろに手持ちの「銀」を配置。渡辺さんの「角」に「金」を取られた場合、後ろに控えさせた「銀」でその「角」を取るためだ。

   杉本八段は「金を狙われているからただそれを受けただけで、あまり強くない人が使う手。プロだったら技を使いたくなるものです」と解説。渡辺三冠は対局後「3一銀は読めていなかった。その後も普通にやっていたらダメになってしまった」と、藤井七段の意外な一手にとまどっていたことを明かした。

   「(最初の金の動きが)ボディーブローのように渡辺三冠にダメージを与えたのではないか。最後までそれが響いて、最後渡辺さんの出来が悪くなり、あっさり星を割ってしまった」と杉本八段は話す。

   藤井七段は対局後、「序盤はやってみたかった作戦で積極的に動いていけた。ここまでよい状態で指せているので、次戦も気負わずに臨みたい」と話した。

   橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「あまりに単純な手だからこそ動かされてしまった。『魔王』の中にもそういう弱さがあるということもビックリです」

   杉山愛(元プロテニスプレーヤー)「スポーツ選手も作戦は立てますが、それをやり切るのが難しい。相手を前に怖気づいてしまうこともあります。藤井七段は『これをやってみたかった』とやり切ったところがさすがです」