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空前の巨大「線状降水帯」日本列島を移動中!東海・東日本も危ない

   日本列島の各地に豪雨をもたらせている「線状降水帯」は、3年前の九州北部豪雨と比べて、3倍以上の長さとなる東西400キロに及ぶものだ。名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授は、線状降水帯がここまで大きく発達したのは、梅雨の末期特有の気象条件が原因だと解説した。「気温が高く、海面温度も高いため、水蒸気が大きくなったためです」という。西と南西の2方向から大量の水蒸気がもたらされ、今後も日本各地に線状降水帯が発生する可能性があるという。

  • 熊本豪雨(NHKの番組ホームページより))
    熊本豪雨(NHKの番組ホームページより))
  • 熊本豪雨(NHKの番組ホームページより))

氾濫検知システムも想定外

   洪水の発生を事前に検知するシステムの開発に取り組んでいる東京大学生産技術研究所の芳村圭教授は、今回の球磨川の氾濫を検証したが、去年(2019年)、千葉県を襲った台風19号で洪水発生を予測できたシステムが、今回は対応できなかった。進路や到達時間が予測しやすい台風と異なり、限られた地域で突然発生する線状降水帯は予測が困難なのだ。

   14人が亡くなった熊本・球磨村の特別養護老人ホームは、球磨川本流と支流の合流付近にあり、この地区に調査に入った土木学会災害調査団で九州大学大学院の矢野真一郎教授は「線状降水帯によって大量の雨水が一気に合流点で溢れ、この地区に流れ込んだことで、被害が拡大した」と考えている。

   線状降水帯の発生が相次ぐいま、東京理科大学の二瓶泰雄教授は「線状降水帯と合流部の地形条件というダブルの影響でリスクが高まる」と警鐘を鳴らす。

「梅雨末期の豪雨」早めの避難

   東京大学の中北英一教授のシミュレーションによると、温暖化の影響で将来的に豪雨が発生しやすくなるのは、九州だけではなく、東海地方や東日本だという。

   「前線が停滞し、九州はさらに豪雨が起きうる危険な状態。また東海・関東にも危険があります。梅雨末期には豪雨災害が起こりうるということを肝に銘じ、避難を考えておくことが必要です」と話した。

   ※NHKクローズアップ現代+(2020年7月7日放送「"梅雨末期豪雨"命をどう守るか」)