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ダムや堤防ではもう防げない「豪雨・氾濫」猛烈な雨は2倍、危険水位超は6倍

   数十年に1度という豪雨で全国の1級河川が次々と氾濫し、もはやこれまでのような治水では水害は防げないことが明らかになってきている。そんななか、蒲島郁夫・熊本県知事の発言が波紋を投げた。知事は球磨川の氾濫で「ダムによらない治水に努めたが、この12年間でできなかった。非常に悔やまれる」と語った。球磨川は日本3大急流のひとつ。その治水は長年、政治論争になってきた。

   そもそもは1965年の氾濫で1万戸以上が浸水被害を受け、翌年から上流の川辺川にダムが計画された。ところが、住民が強く反対した。流域はアユの名産地で、その環境が破壊されるという理由だった。さらに2000年代になって、全国的にダム建設見直しの機運が高まり、蒲島知事は2008年にダム反対を掲げて当選、川辺川ダムを白紙撤回したのだった。

   ダムに代わる方策としては、堤防を後退させる、川底を深くする、堤防のかさ上げなどが考えられたが、どれも、堤防近くまで建っている人家を整理する必要があった。これができなかったのだ。

   蒲島知事は「今回の水害も踏まえて、新たな展開をしたい。脱ダムが極限に来たとは思いません」というが、問題はこのところ増える雨量だ。気象庁によると、猛烈な雨は40年前の1.8倍に増加。氾濫危険水位を超えた河川は、2014年の83から18年には474と6倍近い。

そもそも人が住めるところなのかという判断見直し

   司会の加藤浩次「これだけ降ると予想できなかったわけですが、もしダムがあったらどうだったのでしょう」

   気象予報士の藤富郷「完全には防げなかったかもしれませんが、避難する時間は稼げたと思います」。今回、避難指示から氾濫まで40分だった。しかし、この判断は難しい。

   坂口孝則(経営コンサルタント)「かつてダムを中止させた人は英雄でした。しかし、堤防による治水はダムよりややこしい。政治判断としては、見直しもありでしょうかね」

   藤富「選択肢の一つではありますが、ハードだけでは難しいですよね。流域という概念を踏まえたソフト面での治水も考える必要がありそうです」