2020年 10月 25日 (日)

大戦末期に、核分裂の研究に従事した京都帝国大学物理学研究室の石村修とその家族。戦後生まれの作者が的確に描くコロナ禍時代の戦時下の狂気
<太陽の子>(NHK総合)

   コロナ禍の時代に、コロナ(炎)を纏う太陽の子とは?

   作者(作・演出)黒崎博はまだ50代前半、1945年には生まれてもいないのに、この時代をここまで描くとはなんと鋭い感性の持ち主であることか。第2次世界大戦末期に、原子爆弾の研究・製造を命じられた京都帝国大学の物理学者たちが、遠心分離機にかけてウランを分離して取り出す実験を繰り返すところから始まる物語。

   石村修(柳楽優弥)は京都帝国大学理学部の学生で、陶器屋のオヤジ(イッセー尾形)から、黄色を出す硝酸ウランを分けてもらう。実験は上手くゆかず、研究者たちの間で、「戦争に加担することの罪悪感」が軋轢を呼ぶ。修の弟・裕之(三浦春馬)は下士官だが、病で一時帰宅する。初めは死を怖れて心が揺れるが再び出立する。敬礼して後も見ずに去ってゆく三浦の姿に、彼の後の自死への影を感じざるを得ない。俳優の魂に影響を与えたまでの作品ということか。

   ウラン分離が完成しない前に、広島に原子爆弾が落とされたというニュースが入る。最後が意味深である。アメリカに先を越された研究者の卵(修)は、原爆の悲惨を訴えるどころか、長崎の原爆の次は京都だという噂に、母(田中裕子)と居候の幼馴染・世津(有村架純)を疎開させた後、自分は比叡山に登って、落とされる原爆の有様を観察するという。科学者の狂気というべきか。時代を感じさせる画面と、柳楽、三浦、田中らの好演も作品に貢献した佳作。(放送2020年8月15日19時半~)

(黄蘭)

採点:2.5
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