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菅義偉は蓄財の名人だ。菅夫妻は横浜駅近くの最高級タワマンに住むが、新婚生活は木造アパート2階8畳2間だった。現在、年間1億円を超える政治資金を集め、自民党屈指の集金力を誇る。金儲けのために政治家になったのかといたくなるほどだ

   9月17日の「首相動静」(朝日新聞)に、「レストラン『ORIGAMI』で選挙プランナーの三浦博史氏と食事」とある。18日の日経に「菅内閣支持率74%」とあった。歴代3位だという。現代は、11・1総選挙として、全国289選挙区の当落予想をやっている。菅義偉政権が歴史的勝利すると見ていて、自民党は43議席増の327議席になり、立憲民主党は29議席減の78議席になるという。無邪気すぎるのではないか。

   小泉純一郎が首相時代の秘書官、飯島勲は文春で「解散を思いとどまれ」と書いている。理由は、コロナ禍で世間は苦しんでいるのに選挙などとんでもない。「いくら支持率が高いといってもそんなの神風じゃないけど、あっという間に雲散霧消して手痛いしっぺ返しを食らいかねないよ」。国民はいつまでもバカじゃない。私もこの見方に賛成。

   国会が始まれば、官僚の書いたペーパーを読み上げ、自分の言葉もビジョンも持たない、安倍や麻生、二階らの傀儡だということを国民も知ることになり、支持率は急落すると思う。菅が何とかの一つ覚えのように繰り返す「自助・共助・公助」の評判が悪い。朝日新聞(9月18日付)の「声」欄。「公助が最後に位置付けられる点に、『努力しない者は助けないぞ』という響きを感じる」、この順序は見直すべきだとあった。納得。

   ポストは、菅政権は「重税国家」作りを始め、「中小零細企業がどんどん潰れて日本経済の転落が加速する」と見る。なぜなら、菅はこれまで財界や大企業ベッタリの政策をやり続け、これからも奴らのいいなりになるのは火を見るより明らかだからだ。

  • 菅義偉首相
    菅義偉首相
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菅が「省庁の縦割り打破」「デジタル庁の新設」と壊れたラジオみたいに繰り返すのは竹中平蔵の受け売りだからだ

   文春は、菅が「省庁の縦割り打破をやる」「デジタル庁を新設する」と、壊れたラジオみたいに繰り返すのは、あの悪名高い竹中平蔵の受け売りだからだと見ている。小泉政権で総務相を務めた竹中に仕えていたのが菅だった。竹中に「地頭が良い」といわれたらしい。大学教授に褒められたのがよほど嬉しかったのだろう。夜な夜な怪しげなパーティを催すことで名高い、パソナの迎賓館「仁風林」へも行ったことがあるそうだ。

   竹中は派遣法を改悪し、超格差社会を作り出したのに、人材派遣会社パソナの会長に就く。こんな人間を、安倍も重用し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産を株で運用するという「暴挙」を思いつき、竹中にいわれて運用に舵を切ったのが菅であった。

   スポニチの「永田町ウラ情報 政界噂のマル秘日誌」は、菅の規制改革を進めるという考えを、「随分と古臭い、カビくさいテーマを持ち出してきた」(自民党の閣僚経験者)とし、さらに「自助・共助・公助」は竹中の主張と同じで、自助は新自由主義の流れで、「『叩き上げ』『苦労人』を強調する菅首相だが、これまで主張してきた政策を見る限り、苦労人ならではの目線の低さは見えてこない」とバッサリ。

ポストは、菅の髪が1996年当時と比べ、かなり増えているという。写真で見る限りそう見える。何があったのか?

   それどころか、ポストによれば、菅は蓄財の名人だという。現在、菅夫妻は、横浜駅から徒歩数分のウォーターフロントに建つ最高級のタワマンに住む。広さは約100平方メートル、時価は1億5000万円程するそうだ。新婚生活は木造アパートの2階、8畳2間。市議時代の1992年に5階建てのマンションの最上階を購入。相場は7000万円ぐらいだった。ローンで買ったのだが、わずか3年で払い終えている。

   市議の報酬は約1500万円。3年では返せない。しかも、95年は、国政に出るために浪人生活を送っていたのだ。代議士3年目に、横浜南区の事務所と土地を約5700万円で購入。これも3年で完済している。現在のタワマン購入後、元の自宅マンションと事務所は売却しているそうだが、4427万円の金銭信託を所有している。ポストによれば、菅がまだ当選1回の駆け出しのころ、菅の資金管理団体「横浜政経懇話会」の政治資金報告書(98年)によると、横浜の企業や大手ゼネコンなど150社から、4600万円の献金を集めていたという。

   さらに現在は、年間1億円を超える政治資金を集め、自民党屈指の集金力を誇る。政治家になったのは金儲けのためではなかったのか。そうも思いたくなる成金ぶりである。ポストは、菅の髪が96年当時と比べて、かなり増えていると指摘しているが、写真で見る限りそう見える。何があったのか?

   そのほかにも、ポストはノンフィクション・ライターの森功が「安倍の辞任の理由になった持病の悪化は仮病で、辞める口実だったのではないか」とレポートしている。これはこの欄にも書いたが、持病でやむなく職を辞するという状況を作り出し、自分の思い通りになる菅を据えて、院政を敷こうという腹積もりが、安倍にあったのは間違いないと思う。国民の目を欺いて、自分たちの都合で作った談合政権など、長続きするはずがない。

美智子上皇后の体調がすぐれないようだ。上皇后の笑顔を、今再び見たいものである

   さて、美智子上皇后の体調がすぐれないようだ。新潮によれば、ずいぶんと痩せていた上皇后が検診のために今月11日宮内庁病院へ出向いたが、4月に歯科に行って以来、およそ5カ月ぶりの外出だという。この10余年あまり、上皇后は絶えず、体の変調に苛まれてきた。2015年には心筋の流れが悪くなる「心筋虚血」と診断され、昨年6月には両目の白内障の手術をしている。さらに昨年8月には、早期の乳がんと診断され、9月に東大病院で手術を受けている。

   引っ越して以来、原因不明の微熱が続いていて、左手の指に「こわばり」があるため、趣味のピアノも弾いていないという。その上コロナ禍で、散策もままならないため、精神的なストレスが溜まっているのではないかともいわれる。美智子上皇后の笑顔を、今再び見たいものである。

文春は日テレが太陽光「偽パネル」で10億円の補助金を受給していたと報じる。事実なら日テレ社長の首が飛ぶスキャンダルだ

   ところで、悪徳の限りを尽くしてきたといってもいいだろう、「オーナー販売預託商法」で7000人もの人間のカネを詐取した容疑で「ジャパンライフ」の山口隆祥(78)が、ようやく逮捕された。この山口、安倍の「桜を見る会」に、首相枠で参加していた。安倍と親しいことを吹聴し、加入者を増やしていたのだ。安倍も、菅も、その責任を国民に説明・謝罪すべきである。

   文春は、日本テレビが太陽光の「偽パネル」で10億円もの補助金を受給していたと報じている。事実であれば、日テレの社長の首が飛ぶスキャンダルである。読む限りは事実で、日本テレビ側は文春に対して、逃げ回っている。簡単に記すと、鹿児島県小国町に日本テレビグループが手がけた「サンワーク小国太陽光発電所」というのがある。

   広大な農地の頭上には約4万7000枚の太陽光パネルが敷設されている、国内最大級の規模だという。初期投資はかかるが、国が発電業者から高値で買い取る「固定価格買い取り制度」があるため、長期的には利益が保証される美味しいビジネスである。日テレは熊本だけで年間約7億円の利益を上げているが、そのうちの約4分の3は、国民が払う電気代に含まれる賦課金である。

   だが、そこに敷設されている太陽光パネルが、経産省に届け出て認可を受けた製品とは違うというのである。大阪府堺市にある建設会社「喜志」の実質の経営者である藤原志朗が、他で使用するパネルの事業が難航し塩漬けになっていたため、これを流用し、しかも、シールを貼り換えたというのだ。

   そのことは、日テレの人間も見ていて、「どういうこと?」と事情を聞いたという。だが、藤原はやってしまった。今回、藤原と一緒に工事を請け負った下請け会社の社長である早津賢が、「日テレグループが大きな利益を上げている太陽光発電所で違法な『偽パネル』が稼働していることを告発しようと決意」し、文春に一部始終を語ったのである。

   早津は、昨年の12月にも事業を担当する日テレHDの部長に、この不正の数々を告発した。だが、「彼は、話をうやむやにし、隠蔽しようとしているかのようでした」(早津)

   この犯罪的なやり方が事実なら、「認定取り消し」になる可能性があると、経産省・資源エネルギー庁の担当者もいっている。違法行為を告発すべきマスメディアが、自ら違法行為を知っていて知らん顔をしたばかりではなく、国民のカネをもらって利益を上げていたというのでは、説明責任どころの話ではない。文春は、「さらなる深い闇があった」として、次号もこの問題を追及するそうだ。

林真琴検事総長に就任を祝う席で、林の秘書官がセクハラをして解任された。賭け麻雀の黒川といい、検察は大丈夫か?

   新潮も負けてない。林真琴が検事総長に就任したのは7月17日。黒川弘務と林は、早くから将来の検事総長といわれてきた。だが、黒川が安倍官邸と親しくなると、林は置いておかれた。それが、黒川が賭け麻雀スキャンダルで失脚し、林に総長が回ってきたのだ。その林の検事総長を祝う宴席で、林の部下の秘書官が、セクハラを働いたというのである。ノンキャリとしては出世コースにあった武内(仮名)だが、彼は、下にはパワハラ、セクハラを日常的に行い、上には媚びへつらう典型的な「嫌われ上司」で、「とにかくスケベで、飲み会の席では必ず女性の隣に陣取る」(ある検察事務官)という。

   その日も、言葉にするのも憚られるほどの言葉のセクハラと、「これからウチに来ない?」という発言もあったらしいと検察関係者が話している。被害女性と周りにいた職員が直訴し、コトが発覚したそうだ。林総長はその場にいたのかどうかはわからないそうだが、武内は当然ながら秘書官を解任されたという。

   だが、この不祥事、森まさこ法相(当時)には報告していなかった。新潮から話を聞いた森は、「報告はないです。(中略)すぐ隠すんですよ。黒川さんの(賭け麻雀問題の)時も、私のところへ報告が来たのはいよいよ記事が出るって時。もういつものことです、この隠蔽体質は。(中略)ほんっとうに頭にきますね」と大変なご立腹。こんな人間を秘書官にする林という検事総長は人を見る目がないようだが、大丈夫なのかね、こんな人で。

   最後に、週刊現代編集部についての「噂」を紹介しよう。「週刊現代編集部に6月から配属された新人2人が出社拒否し、3年目の2人もそれに続き、現在4名が出社してない」というのだ。その理由が、上司で役員のSというのが、新人教育は自分がやると人事の意向を無視して教育係になり、その結果がこれだというのである。

   Sは、編集長の企画もチエックしていると聞いている。せっかく編集長になったのに、自分の思い通りにできないのでは何のための編集長か。編集というのは型にはめてはいけない。自由で闊達な言論環境づくり、多少の失敗は許してやる度量が上にないと、面白い発想など生まれはしない。現代の編集長が石井克尚に替わってしばらく経つが、残念ながら彼らしい企画の冴えが見られない。独善を排し、斬新な企画を見せてほしいものである。(文中敬称略)

   

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。