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「全国一斉休校は意味がなかった」「アベノマスクは失敗だった」政府関係者83人に本音インタビュー。新型コロナ対応の民間臨調が厳しい検証報告

   「総理、一斉休校を本当にやるんですか!」。萩生田光一文科相(当時)は安倍晋三首相(当時)に問い詰めていた。

   弁護士や医師、大学教授など専門家19人で構成する「新型コロナ対応・民間臨時調査会」が、安倍晋三首相(当時)や菅義偉官房長官(同)ら政府関係者83人にインタビューした検証報告書が出版された。

   このなかで、(1)突然の全国一斉休校(2)アベノマスクの全戸配布(3)緊急事態宣言は小池都知事のロックダウン発言で遅れた?(4)PCR検査の対象はなぜ拡大しなかったか、について番組が紹介した。

萩生田氏は安倍氏に「一斉休校を本当にやるのか!」と詰め寄った

   まず、全国一斉休校は今年(2020年)2月27日に安倍首相が「全国すべての小中学校、高校・特別支援学校を春休みまで臨時休業を行うよう要請します」と宣言した。萩生田文科相がこれを知ったのは発表当日の午前中だ。これを聞いた文科相は「全部が全部、家にお母さんがいる家庭ばかりではない」として、午後に首相と会い、「本当にやるんですか」と疑問を呈した。

   そして、「共働き家庭の児童の保護」「仕事を休むことを余儀なくされる保護者に対する経済対策の必要性」などを申し入れた。これに対し安倍氏は「国の責任ですべて対応する」と押し切り、午後6時に全国一斉休校を発表した。

   2月27日時点の感染者は全国で191人、なお29県でゼロだった。専門家会議関係者は「子どもは感染源にほとんどなっていない。一斉休校は疫学的にはほとんど意味がなかった」とし、報告書は「教育現場に混乱をもたらした」とした。

「アベノマスクは総理室の一部が突っ走ったんだ」

   「アベノマスク」は4月1日から全戸に配布されたが、官邸スタッフは「総理室の一部が突っ走った。あれは失敗」と言った。「緊急事態宣言」は同7日に首相が発出、「人との接触8割減」を要請した。西村康稔経済再生担当相は「結果として遅れた部分があった」という。内閣官房スタッフは「小池知事のロックダウン発言がなければ、宣言が1週間は早められた」とした。「PCR検査の拡大」については「広範に実施されず、国民の不安と不満と不信がつのった」という結論だ。

   「前例踏襲」しかできなかった日本の官僚に試練はなお続きそうだ。

文/栄