2021年 5月 17日 (月)

御簾の向こうにいて、庶民には拝顔もかなわぬ存在の正親町帝が畳の上で医者と囲碁に興じるへんちくりん。玉三郎は妙に色っぽい
<麒麟が来る 第33回(比叡山に住む魔物) 第34回(焼き討ちの代償)>(NHK総合)

   ようやく池端俊策の意図が見えてきた。情け容赦なく比叡山の焼き討ちでは「女子供も皆殺しにせよ」と命ずる織田信長(染谷将太)に対して、既に家来たちに「女子供は逃がせ」と伝えていた明智十兵衛(長谷川博己)。首を垂れて苦渋の報告をする明智の内心が、あっけらかんと「十兵衛の手柄」を評価する信長と、微妙にすれ違い始めたのを描く。人に褒められて喜ぶ子供っぽい信長とズレてくる。

   この2回の放送での白眉は何といっても覚恕(春風亭小朝)という比叡山の天台座主たる弟に対して、兄の正親町帝(坂東玉三郎)という兄弟である。覚恕は光秀に延々と「美しき兄」に比較されて寺に押し込められた「醜い弟」の恨み言を聞かせる。女と金を集めて権力を握り、世俗の男たち以上の甘い(?)生活に明け暮れる。

   それにしても驚いたのは、かの美しい人間国宝・坂東玉三郎が正親町帝としてドアップ顔で登場したことだ。でもなあ。高貴にして雅(みやび)な御簾の向こう側におわします筈のミカドが、巷の医者である東庵(堺正章)と畳の上で囲碁に興じるなんて、おかしくないか。言い訳めいて帝に語らせている。体が弱かったから小さい時から医者をよく呼んでいた、と。身分制度が厳しかった公家社会に、帝の館に参内することだって庶民には叶わなかったと思うが。

   玉三郎を筆者は板の上でよく観劇する。だが、みんな遠くの全身像である。顔だけのアップにセリフ付き。妙に色っぽくて笑えた。(放送2020年11月29日20時~)

(黄蘭)

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