2024年 4月 25日 (木)

医療最前線を追い詰めるコロナの現状 進む入院患者の高齢化、負担増える現場

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搬送患者がコロナ陽性者だったら?

   感染拡大は救急医療もゆさぶる。脳卒中や心筋梗塞が増える冬に、今年はコロナ対応との両立が課題で、現場の負担は増大する。

   命の危険がある重症患者を受け入れる杏林大学病院(東京都三鷹市)の高度救命救急センターがいま最も恐れるのは、搬送される患者に中にコロナ陽性者がいることだ。本来、発熱などで感染が疑われる人は速やかに検査を受けるはずなのだが、救急搬送患者の中には検査を受けていない人がいる。「高熱ではなかった、仕事を休めなかったなどの理由で、検査を受けない」(墨田区保健所)という実状がここに影響する。もし感染していたら、院内感染のリスクが高まる。受け入れる医療機関自体がストップしかねない。

   このため、同センターは搬入のたびに一人ずつに検査を実施する。結果が出るまでに1時間はかかる。その間は他の搬入を受け入れられない。もし検査結果が陽性だったら、防護処置にさらに時間がかかる。今月、腹と胸痛で搬送された70代男性は検査して陽性とわかり、集中治療室内の陰圧室に隔離。治療に使った医療機器のシートをすべて張り替えるだけでも20分かかり、それだけ新たな搬入患者を受け入れられないタイムラグが広がった。

   政府の新型コロナ対策分科会のメンバーも務める、都立駒込病院の今村顕史医師は、医療現場のひっ迫は今始まったことではなく「他セクションの人員をコロナ治療に持ってくる状態が早くから現れている」という。医療崩壊のきっかけがすでに始まっており、地方はとくに短期間でひっ迫する可能性が高いと指摘する。

   その認識のうえで「医療関係者だけでなく、一人ひとりがコロナ対策の最前線にいる。感染しないようにすることが医療者への応援になる。終わらなかったパンデミック(世界的大流行)はない。きっといっしょに乗り越えられる」と、今村さんは訴えている。

NHKクローズアップ現代+(2020年12 月3日「迫られる命の選択」)

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