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コロナ禍なのに、日本の株価「バブル期以来の高値」のなぜ? 経済評論家も「実体経済からかい離」と懸念!

   新型コロナの影響で失業、解雇、倒産が増えているにも関わらず、株価は上がっている。日経平均株価は感染の再拡大が始まった11月(2020年)に急上昇し、同月17日には終値が2万6014円に。バブル期以来の2万6000円越えを記録した。

   経済評論家の加谷珪一さんは「バブルの頂点の時には4万円に迫る勢いでしたので、そこと比較するとそれほどではないですが、実体経済からかい離して株価が上がっているのは間違いないです」と話す。

   なぜなのか。まず1つはアメリカの株が上がっているから。コロナ禍で社会のデジタル化が進んだアメリカでは、それがIT企業の追い風になり、株価上昇をけん引した。さらに11月9日にはファイザー社がワクチン臨床試験で95%の効果を発表し、コロナ克服への期待感も株価上昇の要因になった。11月24日にはNYのダウ平均株価は史上初めて3万ドルの大台に乗った。

   「日本市場は基本的にアメリカに追随します。11月のアメリカの株価上昇に合わせて、日本でも株価が上昇したんです」と加谷さんは言う。

日本はカネ余り?日銀の大量購入で投資バブルに

   そしてもう1つは日本がカネ余りの状態にあること。日銀は3月に緊急の追加金融緩和を行い、株(ETF)の購入の上限を年6兆円から12兆円に引き上げた。日銀がETFを購入することで、株価が安定し経済の下支えになり、市場に出回るお金の量が増えていく。投資家たちは余ったお金で株を買うので、結果として株価が上昇するのだ。

   この状態には懸念事項もある。「今は日銀が筆頭株主のような状況になっている。こうなってしまうと、いつか下落する相場がやってきた時に日銀は大量の損失を抱えることになります。それまでにちゃんと市場に株を放出しないといけません。そのタイミングをいつにするかは日銀関係者も相当気を揉んでいると思います」と加谷さん。

   また、加谷さんは株価上昇で広がる格差についても指摘する。「今はある程度資金を持っている投資家にとって有利な状況です。株価が上がった企業も資金調達が楽になりますので、利益が得られる。企業間の格差も広がるでしょう」と言うのだ。

   浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「先日のノーベル平和賞の授賞式で、『こんな状況でも富はどんどん生み出されていて、世界の格差はどんどん広がっている』というスピーチがありました。まさにこれによってですね」

   司会の羽鳥慎一「今(2020年12月16日午前9時8分現在)は昨日に比べてプラス159円ですって。Go To停止で大変だって話をしている時に。なんかもう、別世界ですね」