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英国、南アで感染力7割増しの変異種が発見 日本の水際対策は"ゆるゆる"だ!

   昨日12月24日(2020年)の全国の新型コロナウイルス新規感染者数は過去最多の3740人。東京の888人をはじめ、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、愛知、京都、香川、長崎で過去最多を更新した。全国の重症者数も過去最多の644人に膨れ上がっている。

   そんな中で心配なのは、英国で発見された変異種。感染力が70%高くなっており、ロンドンの感染者の約6割が変異種に感染していると言われている。12月にはシンガポールで英国からの帰国学生2人から英国変異種のウイルスに感染。香港でも英国からの帰国学生2人が英国変異ウイルスに感染し、22日には英国からの航空便を停止した。ほかにも、デンマーク、オランダ、アイスランド、イタリア、オーストラリアで英国での変異種が確認されている。

   日本でも、英ロンドンに滞在した後で12月16日に帰国した30代男性が21日に発症し、コロナ感染が判明。現在は医療機関に入院中だという。

マスクなしだと1人から5人に感染

   日本医科大学の北村義浩特任教授は「変異種の感染力が強いと言われるのは、感染の広がりから推測されたもの。これまでのウイルスはマスクなしの場合に1人から2~3人に感染させるとされていたが、この変異種はそれが5人に増えるということ。さらに、英国型より感染力が強いとされる南ア由来のウイルスも英国で確認されている」と話す。

   この南ア由来の変異種は英国で2例確認されており、いずれも南アフリカから入国した人と積極した人から確認されたという。英・ハンコック保険相は「新たにより感染力の強い変異種を発見した。危険な速度で拡大するもの」と言い、英国の医大教授は「南アフリカでは爆発的に流行し感染者が急増している」と話している。英国は24日に南アからの入国を一時停止し、直行便も停止した。

   その南アではすでに累計で約95万人が感染し、死者数は約2万5000人に及ぶ。ケープタウンのビーチは閉鎖された。南ア保険相は「原因は変異種による。持病のない若者が重症化するケースが増えている」という。厚労省アドバイザリーボード出席者はこの変異種について、「感染力が70%増なら何をやっても感染拡大は抑えられない事態になる。非常に強い緊張感が皆で共有された」と話す。

   作家の吉永みち子は「英国や南アの保健相は情報を正確に発信している。日本の発表では国民に危機感を共有するという意味ではマイナスになっている」と指摘した。

   その日本の水際対策は極めて怪しいものだ。11月から12月12日までの入国者数は、英国から3523人、南アから208人など、各国から多数の入国者があった。空港の検査で感染が確認された英国からの入国者は日本国籍が9人、外国籍が1人。24日には英国からの水際対策を強化したが、北村特任教授は「英国からの入国を強化しても、英国に滞在したことがある他国からの入国者は入って来られる、英国だけに絞っても効果はないと思う」と警鐘を鳴らした。

   テレビ朝日コメンテーターの玉川徹は「入国検査はゆるゆるにやっている。米国から2万1000人入ってきている。米国に変異種が入っている可能性は高いと思う」とコメント。

   北村特任教授は「水際対策で完全な成功例はないが、流行を遅らせる効果はある。3週間止めるならその間に、検査体制を整えるなり目的をはっきりさせることができるのに、いまだに目的が見えないまま」と政府の対策を批判すると、岩崎元検疫官も「これまで対策が遅れ遅れできたのが日本の感染流行の原因の一つ。日本人の国民性としてきちんとやる、そのおかげでここまで抑えられた。国民の努力のたまものだと私は思います」と指摘。

   これに玉川が「政府の無能を国民が救っている?」と問うと、岩崎さんは「私はそう思います」とズバリ言い切った。