見かけた男をすべて食べ物に例える趣味の産業医・大桜美々(波留)は、28歳だが本音は寂しい女。スマホで「草モチ」と名乗って「檸檬」と名乗る正体不明の男性と仮想恋愛していた。コロナ禍の中、厳しくマスクやソーシャルディスタンスを社員に命令し、独裁者扱いされているが、家では、夕食がコンビニ弁当で大型テレビのゲームをしながら1人淋しく食う今時の働く女の子である。
その「檸檬」は、会社の人事部にいる青林風一(松下洸平)だった。彼は誠実そうでも洋服のセンスはなく、真面目が取り柄の不器用男。毎回筆者は欠伸をしながら義務で見ていたが、最終回にちょっとだけ面白い場面があった。嘱託医の富近(江口のりこ)がやもめの朝鳴(及川光博)に別れを告げられ落ち込んでいた時、彼からのメールが来て、怖くて「見て」と同僚に頼むところ。11歳の息子が父親に同情しての提案だった。恋する女の心理がよく出ていた。
松下洸平はもっさり垢抜けない男だが、NHKの朝ドラに出てから1流扱い。番宣のバラエティに出た時に、異様に歯が白くて不気味だったが、朝ドラの威力は凄いのだ。波留も朝ドラ以来モテモテ。ギョロ目過ぎて、筆者は彼女を美人だと思えないのだが、すっかり主演俳優の常連になってしまった。そういう意味では、朝ドラが俳優値踏みのメルクマールになっている。民放もだらしがないこと。自分たちで原石を見つけて育てられないのかね。(放送2020年12月23日22時~)
(黄蘭)
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