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「無感染」「無症状」「感染して症状あり」せきの音で見分けられる!? コロナ禍に役立つ「AI」研究進む!

   新型コロナウイルスの感染拡大が連日伝えられる中、病院の「受診控え」が問題となっている。民間のリサーチ会社と大阪の病院の調査では、何らかの持病がある人のうち27%が受診を控えたと回答。そのうち6割以上が「病院の待合室などで新型コロナに感染しないか不安」という理由だった。

   受診控えは特に小児科、がんの定期検診などで多く、なかなか病院に行かないことで重症化してしまう可能性も指摘されている。

   保里小百合アナウンサー「こうした中で今注目されているのがAI。人工知能です」

アプリで症状・持病・行動を入力すると感染の可能性を予測してくれる

   神奈川・海老名市で導入された無料アプリでは、「喉が痛い」「せきが出る」などの症状や、高血圧や糖尿病などの持病があるかどうか、食事会の参加など感染のリスクがある行動をしたかどうかなど、画面の案内に従って当てはまる項目を選ぶだけで、感染の可能性を予測し、相談窓口の連絡先が紹介される。海老名市内で使用すれば、GPSの位置情報から最寄りの医療機関を紹介してくれる。名前などの個人情報を入力する必要はない。

   このアプリは、国内外の医学論文約5万件をAIに学習させ、さらに新型コロナウイルスに関する医療のガイドラインや疫学調査も盛り込み、5人の医師が常に最新の情報に更新しながら運用している。

   博多大吉キャスター「すごいシステムですけど、これでコロナかどうか正確にわかるものなんですか」

   保里アナ「このアプリはコロナかどうかを断定するものではないんです。あくまでも、不安を抱えた人を適切に相談窓口や医療機関につなぐツールとして活用が始まっているということなんです。海老名市にお住まいでない方も、自分の症状を知る手がかりとして使えます」

   ほかにも東京都では、質問に会話形式で自動応答する相談窓口「チャットボット」を導入していたり、医療機関によってはオンライン診療を実施していたりと、コロナ禍の病院受診にAIが活躍している。

数万のせきのサンプルをAIが学習...識別率は98.5%!

   米マサチューセッツ工科大学では、せきの音だけで「感染していない人」「感染して症状のある人」「感染しているが無症状の人」を識別するAI研究を進めている。数万のせきのサンプルをAIが学習し、声帯の強さや肺と呼吸の働き、筋肉の衰えなどのわずかな違いを分析。識別率は98.5%まで上がっているという。

   保里アナ「まだ研究中で、世界中の人のせきのサンプルを集めてさらに精度を上げているという段階です。これからAIのシステムをスマートフォンのアプリやスマートスピーカーに組み込んで、感染したかどうかを判断できる負担の少ないツールの実用化につなげていきたいということです」

   期待が高まるところだが、実用化されるまでは自分たちの力で受診控えの問題を解消していかなければならない。国立感染症研究所の長谷川秀樹さんが、今我々がすべきことをアドバイスした。

   「かぜもインフルエンザも新型コロナも症状がよく似ていて、専門の医師でも症状だけでこれらを区別することはできません。だからこそ自分で判断することなく、信用できるツールや情報源を参考にきちんと医療機関にかかり医師の判断を仰ぐのが重要です」