2021年 4月 13日 (火)

<プレミアムドラマ カンパニー~逆転のスワン~>(NHK・BSプレミアム)
バレエ団の再建をいきなり指示された『崖っぷち』平凡サラリーマン。どん底から懸命に這い上がろうともがく姿は感動もの

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   サラリーマンが主人公のドラマとして、リベンジ物に並ぶ人気を持つ『崖っぷちサラリーマンによるお荷物組織再生ドラマ』の系譜に連なるドラマだ。最近では、社会人ラグビーチームを舞台とした大泉洋主演「ノーサイド・ゲーム」や福山雅治主演「集団左遷!!」などが話題になった。

   こちらドラマの主人公は、有明製薬とラナヘルツが合併して誕生した有明ヘルツの総務課長・青柳誠一(井ノ原快彦)。ある日突然、取締役・脇坂英一(西村まさ彦)から「キャリア創造支援室」への異動を命じられる。社内で『リストラ待合室』といわれる部署だ。

   そこで与えられたミッションは、社長・有明清治郎(岩松了)の娘・有明沙良(小林美奈)がプリンシパル(最高位ダンサー)を務め、社として協賛している「敷島バレエ団」の再建だ。その第1関門は、2カ月後の年明けに開かれる公演「白鳥の湖」全5回の会場をすべて満杯にすること。「バレエ団(=カンパニー)を再建できなければリストラ」という運命が待っている。

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妻子も家出し「このままアナタといると、腐っていく」

   「私は今まで、言われた仕事はキッチリとこなしてきたつもりです。20年間ずっと会社に貢献してきた。なのに、どうして?」と恨み言を言う青柳に、脇坂は「キミはずっと言われたことしかやってこなかった。それでは今の時代はダメなんだよ」と突き放す。

   そんな青柳が帰宅すると、さらに追い打ちをかける事態が。妻・悦子(小西真奈美)が一人娘・佳奈(田畑志真)を連れて出て行ったのだ。

   後日、署名・押印済みの離婚届を持ってきた悦子に、青柳は「俺は今まで、言われたらゴミ出しや買い出し、風呂掃除だって文句を言わずにやってきた。俺は何も悪いことはしていない」と訴えるが、悦子からは「このままあなたと暮らしていたら、私、毎日少しずつ腐っていく」と身も蓋もない言葉が返ってきてガク然とする。

   脇坂とのやり取りも、悦子との会話も「耳が痛い」「身につまされる」と思う中高年も多いのではないか。昭和や平成の時代までは辛うじて通用していたサラリーマン、家庭人としての『最低限の拠りどころ』さえも全否定されてしまったのだ。

次から次へと降りかかる無理難題にハラハラ、ドキドキ

   そんな青柳が、もう1人のリストラ候補のスポーツトレーナー・瀬川由衣(倉科カナ)と力を合わせ、古いカラを破り捨てながら、公演成功に向けて一歩ずつ前進していく。容赦なくどん底に叩き落とされ、それでも懸命に這い上がろうともがき、仕事への情熱や人生への自信を取り戻していく姿は感動的だ。

   一方で、公演成功のカギを握る孤高の世界的バレエダンサー・高野悠(宮尾俊太郎)とバレエ団主宰・敷島瑞穂(黒木瞳)の反目、その高野の怪我、団員同士の確執......と、青柳と瀬川に無理難題が次から次へと降りかかり、視聴者はハラハラ、ドキドキして気の休まる暇がない。

   原作は、2014年、2017年、2020年の3回、直木賞にノミネートされた女流作家・伊吹有喜の小説「カンパニー」。バレエ監修を務めるのは、英国ロイヤルバレエ団の元プリンシパル・熊川哲也と熊川が率いるKバレエカンパニー。高野悠役を演じる宮尾は、昨年までKバレエカンパニーのプリンシパルを務めた本物のバレエダンサーで、劇中で迫力あるバレエを披露する。また、番組で使われる挿入曲はチャイコフスキー作曲「白鳥の湖」を様々にアレンジしたもので、気がつくとあの有名なフレーズが流れているという趣向も洒落ている。

   青柳と瀬川を応援しているうちに、この2人から元気をもらっているあなた自身を発見するに違いない。(毎週日曜よる10時放送)

寒山

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