J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

肺炎と心不全で危険な高齢者でも入院先見つからない! 「東京・医療崩壊」の現実

   池袋大谷クリニックの大谷義夫院長がリモート出演して、実際に体験した医療崩壊の実態を報告した。大谷クリニックでは緊急事態宣言発出後に新規感染者数は微減し、陽性率も30%台から20%台に下がっているという。大谷院長は「緊急事態宣言の効果は出始めているようだが、病床は逼迫している」と言う。

   1月18日に38.8度の高熱で受信した66歳男性は不整脈の持病があり都立広尾病院に通院中だった。新型コロナに感染しているかは不明だったが、酸素飽和度は88%で肺炎と心不全の症状があり入院が必要な状態だったので、広尾病院に入院要請したが「コロナで満床」と断られてしまった。大谷医師は10病院に電話で問い合わせたが、すべて受け入れ不可能だった。やむなく救急車を要請し、救急隊員が入院先を調整したが15以上の病院で受け入れ不可能と言われた。この間、男性の容体が急変したため、一時的診療のみとして国立国際医療研究センターで受け入れてもらった。男性は3日間人工呼吸器付きで入院、PCR検査は陰性だった。

   大谷医師は「普段は簡単に受け入れてもらえるが、治療可能な患者を3時間以上受けてもらえなかった。こんなことは30年医師をしていて初めてのことで、びっくりした。医療崩壊の現実を体感した」と話す。

   東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は「コロナで病院がひっ迫していること、市中に感染が広がっているのが要因だと思う。どこの自治体でもこういうケースが増えている」と解説。

   作家の吉永みち子は「どんな状況でもコロナを疑わざるを得ない。入院できただけでも運が良かったとなっている。受け入れ病院を探す時間的ロスを避けるために、受け入れ先がわかるような仕組みはないのか」とコメント。

   スポーツキャスターの長嶋一茂は「コロナ疑いがあるため搬送できるところが限られてしまう。この1年の間に、医療従事者や病床の確保をなぜやってこなかったのか」と指摘。

   寺嶋教授は「たとえ病床が空いていても、マンパワーが足りず受け入れられないケースがある」と、苦渋のコメント。

重症者を1か所に集める対策は?

   テレビ朝日コメンテーターの玉川徹は「重症者の治療は1か所に集めたほうが合理性が高まる。神奈川県のようにプレハブで施設を作ればいい。たとえば築地市場跡地は今、整地されて五輪用の駐車場になっている。ここにプレハブを建てられる。23ヘクタールあるので1000人規模の病床を作ることができるのではないか」と提案すると、寺嶋教授は「新しい施設を作れば他の診療科、患者への影響も少なくなる。だが、ハードを作っても、重症患者の治療はチーム医療なので、すぐにスタートできるわけではない」と指摘。

   それでも玉川は「大阪でもオープンすることができた。東京も政治決断が必要になる」と強い口調で言った。