2024年 4月 24日 (水)

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北陸新幹線の延伸遅れで引責辞任

   その菅首相の非情さはよく知られているが、ここまでやるかというケースを文春が報じている。

   年の瀬が押し迫った12月23日、永田町の議員会館をスーツを着た男2人組が、平身低頭しながら挨拶回りをしていたそうである。国交省が所管する独立行政法人「鉄道・運輸機構」の理事長だった北村隆志(元国交省)と副理事長の小島滋で、2人の配る名刺には手書きで、「引責辞任いたします ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と書かれてあったという。

   12年に着工した北陸新幹線の延伸工事の施工管理を機構が担当していたが、遅れに遅れ、当初予算から大幅に膨れ上がったため、岡田直樹官房副長官が批判し、菅首相も同調したため、北村と小島が辞意を表明した。

   だが文春によれば、駅の設計変更が何度もなされたという特殊な事情が背景にはあったという。だが菅のやり方は問答無用、自分の意に沿わない人間は斬る! そうやって官僚たちに恐怖感を植え付け、支配するのが菅流である。かくして官僚たちは公僕であることを忘れ、首相官邸だけのポチに成り下がってしまったのである。

   ところで、無性に本が読みたくなって、月曜日に買って読みふけった。直木賞受賞作『心淋し川(うらさびしがわ)』(西條奈加・集英社)、『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸・新潮新書)、『たかが殺人じゃないか』(辻真先・東京創元社)、『吉永小百合 私の生き方』(NHK『プロフェッショナル仕事の流儀 制作班築山卓観』・講談社)、『鬼才 伝説の編集人齋藤十一』(森功・幻冬舎)、『2016年の週刊文春』(柳澤健・光文社)。これを4日で読んだ。

   『心淋し川』は程よくまとまってはいるが、吹き溜まりのようなよどんだ川に沿ってある貧乏長屋という設定、ありふれた人情話と、どこかで読んだ話である。直木賞というなら、これまでとは違った視点が欲しい。まあ、昨今の賞はこんなものばかりだが。

   『ミステリ入門』は参考にはならなかったが、いくつか未読のミステリーがみつかったのが収穫。『たかが殺人』は途中で放り投げた。私の脳は青春ミステリーというジャンルをどうしても受け付けないのだ。

   『吉永小百合』はNHKでも見たが、底の浅いドキュメンタリーであった。本ではテレビでは出せなかった小百合の「本音」があるのかと思ったが、何もなかった。由緒正しいサユリストには何の価値もない一冊。

   『鬼才』と『週刊文春』は面白かった。天皇・齋藤が支配する週刊新潮は、斎藤の死と共に崩れ去ったというのはよく分かる。花田紀凱と新谷学を軸に、文藝春秋という大らかだが、なかなか難しい人間関係を織り込み、私が知っているこの会社の別の部分も知ることができた。どちらも自分のいた出版社のことなので、身びいきが過ぎると思うところも多々あるが、出版社志望の若い人に読んでもらいたい。

   手前みそだが、このほかに拙著『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)と、現代ビジネスに連載していた魚住昭の『大衆は神である』を読めば、講談社のことがよく分かる。小学館も似ているが、講談社には社を代表するような編集者は皆無といっていい。新潮の齋藤も文春の田中健五もいない。出版とは何かなどといううるさい人間がいなかったから、文芸からマンガまで、儲かるものなら何でも臆面もなく出すことができた。そこが講談社の他社にない"強味"であったと思う。いちOBとしては、恥ずかしくて大声ではいえないことだが。

   さて、今朝(1月29日)の日刊スポーツに掲載された、文春で雀荘通いが報じられた時津風親方のコメントが面白い。

   「知人らによると、時津風親方は猛省しつつも『国会議員は外食しているのに何も処分はなく、なぜこっちはクビになってしまうのか』と漏らしているという」

   新潮で角幡唯介が一文を寄せている。元朝日新聞記者で探検家。北極の太陽が姿を見せない漆黒の夜を旅した『極夜行』は冒険ノンフィクションの傑作である。

   角幡は現代のようなテクノロジー礼賛に対してこう警鐘を鳴らす。

   「テクノロジーが便利になって社会が効率的になることで得をするのは、基本的には国家や企業といった私たちの外部にあるものだ。(中略)しかし自分で行為せず、思考せず、判断せず、あらゆる認知機能を機械にアウトソーシングした、ただ呼吸し、意識があるだけの肉の塊になったとき、それを人間と呼ぶことはできるのだろうか。それは事実上の死なのではないか。

   私はそうはなりたくない。だから北極で犬橇をする。私の生を押しつぶそうとする無形で暴力的な力への、それは私的な抵抗でもある」

   コロナ禍の下で、ただ呼吸し、酒を飲み、NetflixやAmazonプライムビデオを見るだけの日々を送っている私は、たしかに死んでいるのも同然であろう。

   北極で犬橇はきついが、疲れ果てて雪の中で眠るように死ぬことができれば、行ってみるのも悪くはないかな。(文中敬称略)

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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