昭和26年(1951年)、千代(杉咲花)が道頓堀からいなくなり、1年が経過した。座長の一平の色恋沙汰で、千代が失踪したと噂になり、鶴亀新喜劇もいまいちの状況だった。
一平は、千代を捨てて灯子と新しい生活を始めていた。
■「竹井千代はどうやろ」
その頃、NHK大阪放送局では「お父さんはお人好し」というラジオドラマの企画が進んでいた。お父さん役は人気漫才師・花車当郎(塚地武雅)となったが、脚本家の長澤誠(生瀬勝久)は、お母さん役に人気女優・箕輪悦子を起用したいと考えていた。
すると花車が意外な人物の名をあげる。
花車「お母さん役に、竹井千代はどうやろ」
脚本家の長澤は、怪訝な顔をする。鶴亀新喜劇で有名となっていた千代は、今は行方不明となり、人々の記憶から忘れ去られようとしていた。
花車は、戦時中に防空ごうで掛け合いをした千代のことを思い出して、うっすらと笑みを浮かべるのだった。(NHK総合あさ8時放送)