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「入院先見つからない」のリアル 都内「訪問診療」医師に「あさチャン!」密着

   東京都のきのう15日(2021年8月)の新型コロナウイルスの感染者は4295人、日曜では過去最多を更新した。重症者も251人(前日から6人増)で最多。患者の入院先の確保が困難な状況が続いている。「あさチャン!」は、渋谷区の訪問診療の医師に14日に密着取材した様子を伝えた。

  • 入院調整に困難をきたす状況も(写真はイメージ)
    入院調整に困難をきたす状況も(写真はイメージ)
  • 入院調整に困難をきたす状況も(写真はイメージ)

予約の電話が鳴りっぱなし

   都内で訪問診療をする「コールドクター」の事務所では、予約の電話が鳴りっぱなしだ。電話スタッフの連絡で医師が患者に折り返す。「(往診は)19時以降ですね。大丈夫ですか」。

   丸山浩司医師が、看護師とともに自宅療養中の患者の元へ飛び出した。血液中の酸素値が96%以上なら正常だが、93%以下だと酸素投与が必要になる。自宅療養中の30代男性の自宅前の廊下でビニールの防護服を着こんだ。玄関先で患者の指先でつけたパルスオキシメーターを見ると93%。丸山医師は、入院が必要と考え、保健所に電話をかけたがつながらない。119番通報と同時に、電話で入院先を探し始めた。

   丸山医師「救急です。本日往診に伺った際に、酸素の値が89%~93%と低くて、ですね」。そこへ救急隊員が到着。丸山医師は、患者の状態を隊員に伝えて、次の患者の自宅へ。救急隊が保健所などへ連絡しても入院先は確保できず、患者は自宅療養を続けることに。

   次に向かった40代の一人暮らし男性は、咳がひどくなっていた。玄関先での問診中も、患者はさかんに咳を繰り返す。「(酸素値は)92%。きょう、急激に下がり始めた。入院したい。もうこの10日間まったくらちがあかず、日がたつほど悪い症状が次々出てきている。心が折れそう、とにかく入院したい」。丸山医師や救急隊員が保健所などへ連絡したが、自宅で様子を見ることになった。丸山医師が、急遽手配した酸素ボンベが運び込まれた。

   丸山医師は「うちで酸素を投与するところまではできるが、そこから悪くなった時に入院する場所が絶対必要になってくる。自分も現場を離れるのは不安だが、申し訳ない。正直電話がたくさんなっているんですが、それに100%応えられていない」

「何よりも国会を開かなければ」

   東京都医師会の尾崎治夫会長は14日の緊急記者会見で、「夜、遊びに行っている方だけの病気だと考える段階ではない。と、くれぐれもお分かりいただければ」。

   各地で大規模クラスターも発生している。北海道苫小牧市で開かれた全国高校選抜アイスホッケー大会(8月3日~8日)で、生徒ら90人が感染した。濃厚接触者は約900人。夏季休暇で帰省していた海上保安学校の学生40人の感染も、帰省先での検査で分かった。東京都台東区では清掃事務所職員に複数の陽性者が出て、きょうから31日まで、区内全地区の燃やさないごみ収集の休止を発表した。保健所は「業務ひっ迫」を理由に、濃厚接触者に関する調査業務を縮小、「優先度を考慮して効率的に」行うと通知した。

   東京都の入院率は「9.2%」。10人のうち9人は入院できない事態になっている。

   インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁・院長は「もっと様々な場所にプレハブなどの療養施設を作るべきだ」として、東京五輪の関連施設や大きな公園、大型駐車場を提案している。

   政府は具体策を出していない。コメンテーターの堤伸輔・フォーサイト元編集長は、「まず、何よりも国会を開かなければ。ロックダウンの代わりにどんな方策を打って人出を減らすのか、具体策を真っ先に議論しなければ」と提言する。「政府は、菅首相が答弁することを恐れて隠そうとしている。野党側は、(首相が)いろんな失策があったことについてあまり突かないとまで言っているけれども、答弁をするのが怖いのか、国会を開こうとしない」。

   「答弁が怖くて国会に出せない首相」が、歴史上いただろうか?非常事態に国会出られないなら、首相は即刻クビである。首相を批判してきた小池都知事から具体策は出ないのか?

(栄)