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「菅独裁への怒り」と4つの想定外 「党史上最悪の辞任劇」指摘も

   先週3日(2021年9月)、永田町に激震が走った。菅義偉総理が官邸での会見で、「新型コロナ対策に専念したい」として自民党総裁選に出馬しないことを表明したのだ。日本中を驚かせた不出馬表明の背景に何があったのか。6日の「めざまし8」は専門家に話を聞いた。

   総裁選出馬に意欲を見せていた菅義偉総理だが、内閣支持率はFNN調査で32.1%と低迷。総理のお膝元で行われた8月22日の横浜市長選でも、支援した小此木八郎・前国家公安委員長が山中竹春氏に惨敗した。

  • 菅首相が行き詰まった理由は?
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「めざまし8」が経緯をおさらい

   こうした状況を打開しようと菅総理は党人事や内閣改造、さらに9月中旬の解散も含めて検討を始めたが、党内の反発から解散を否定せざるを得ない状況に。二階幹事長の交代が焦点の党内人事も失敗した。

   ジャーナリストの鈴木哲夫さんによると「幹事長人事がうまくいかなかった。菅総理は河野太郎行革相を幹事長に起用したかったと思うが、麻生太郎副総理から自分の派閥のカードを使わせないと拒否された」という。

   横浜市長選の敗北後、解散権を奪われ、人事も思うようにいかなくなった菅総理は徐々に追い詰められていった。

   こうした中、同じ神奈川が地元の小泉進次郎・環境大臣が、8月30日から4日間連続で菅総理と面会した。小泉環境相は総選挙が厳しい状況であると伝えるとともに、菅総理に総裁選出馬を取りやめるよう進言したとみられている。

   菅総理は9月3日の自民党臨時役員会で不出馬を表明した。二階幹事長は「不出馬の話、今朝聞きました。正直びっくりしておりますが、総裁のご発言でございますから」、小泉環境相は「もっと自分の言葉で語っていただきたかった」と取材に対しコメントしている。

橋下徹「これが民主政治」

   なぜ菅総理は小泉環境相に相談したのか。鈴木哲夫さんは「菅総理には本当の側近はおらず、広報官的な役割の人がいない。私は『チーム神奈川』といいますが、同じ神奈川が地元の小泉進次郎環境相、河野太郎行革相が近い位置で、今回は進次郎さんがその役目に入った」と語る。

   自民党内からは「自民党史上最悪の辞任劇です」「自民党がぐちゃぐちゃだと醜態をさらした」と不満の声も出ているという。

   橋下徹(弁護士)「これが民主政治。民意が離れると人が集まらない。今の菅さんに誰もついてこない」

   倉田大誠・情報キャスター「五輪で政権浮揚、解散総選挙勝利、無投票再選という思い描いていたシナリオが、コロナ対策の後手批判、五輪の浮揚効果不発で全く違う形になった。横浜市長選敗北、役員人事の失敗、内閣支持率低下、党員の不安拡大という4つの想定外があった」

   山田惠資(時事通信社解説委員)「始まりは都議会議員選挙。政権へのコロナ対応に6月頃から不満が広がっていた。五輪そのものに対する評価は上がったが、内閣支持率が連動しなかった」

   鹿嶋豪心(フジテレビ政治部)「総裁選前に人事をやろうとした。菅さんを応援していた安倍元首相が、9月の人事に違和感を感じていた」

   金子恵美(元衆院議員)「幹事長が決まらなかったのが痛かった。菅独裁への怒りが党内で広がっていた。次の選挙への不安が大きかった。菅さんが辞める姿勢を見せないことで、小泉さんが中堅若手の声を代表して進言した」

(みっちゃん)