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派閥親分より自分の当選 今回の総裁選は「死ぬか生きるか」の選択

   菅義偉首相の事実上の退陣表明を受けた自民党総裁選に向けた党内の動きは、今週から本格化する。「次の自民党総裁にふさわしいのは?」とのJNNの世論調査では、河野太郎氏(58)が22%、石破茂氏(64)が21%、岸田文雄氏(64)が14%に続いて、高市早苗氏(60)と野田聖子氏(61)がともに3%となった。6日(2021年9月)の「あさチャン!」が分析した。

   総裁選に向け真っ先に出馬を表明した岸田・前政調会長は5日、YouTubeのライブ配信で市民と交流した。高市・前総務相は、出馬に必要な推薦人20人を確保したとされ、近く正式に表明する意向だ。安倍前首相は周囲に高市氏を支援する意向を伝えた。

  • ポスト菅首相めぐる動きが活発化
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夏目三久「これまでは派閥で、ある程度の票読みはできましたが」

   石破・元幹事長は、4日に二階幹事長と会談。二階氏は「しっかり頑張れ」と激励したとされる。推薦人20人の確保はできた、という。ただ、派閥内には出馬に慎重な意見もある。河野・行革担当相は3日、派閥の麻生副総理・財務相と会談。麻生氏は「出たいなら自分で決めろ」と容認、河野氏は出馬の意向を固めた。野田・幹事長代行は20人の推薦人確保が課題だ。

   政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「岸田本命、河野対抗」と見る。「総裁選の歴史でおそらく初めてのことだが、派閥に所属する人間が別々の候補者に投票することになる」。「派閥の親分に従うよりも、11月にも行われる総選挙で自分が当選するために誰がいいか、という発想になるから。生きるか死ぬかという選択だ」。

   MCの夏目三久「これまでの総裁選では、派閥で、ある程度の票読みはできましたが」

   田崎「今度は、派閥の数で足し算をしても、そうならない」。田崎氏の分析によると、安倍前首相は高市氏の推薦人20人を集めているが、細田派では、反発が広がっており、岸田、河野氏にも票は流れる、とみる。麻生派は河野氏のほか一部は岸田支持に走っている。岸田派は一本化されるが、石破派の一部は河野氏支持に回る。二階派と竹下派は決まっていないが、竹下派は岸田支持の可能性があり、二階派は最終局面で河野氏に乗る可能性がある、と田崎氏は見る。岸田氏が二階幹事長外しのきっかけとなったので、恨みがある、とみる。

   総選挙で問われるのは、「9年間の『安倍一強』下の安倍・菅政治」だ。公文書の改ざん・破棄にまで発展した森友学園問題に象徴される構造腐敗は、何をしても政権交代はほぼありえない、という与野党の議席格差から生まれた。自民党総裁選だけでは解決しない。野党も同時に、総選挙に向けた自己変革を求められている。

(栄)