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「マルチのカリスマ」らの巧みな話術 逮捕前に語った「お金の苦労から解放」

   阿部祐二リポーターが「加藤さん、マルチのカリスマが、逮捕です」と紹介したのは、全国でセミナーを開き投資を呼び掛ける「マルチのカリスマ」と呼ばれる玉井暁容疑者ら7人が約650億円の出資金を不正に集めた疑いで逮捕された事件。12日(2021年11月)のスッキリでは、この儲け話に115万円を出資してしまった自営業で30代の男性被害者を取材した内容を伝えた。

   投資をめぐる詐欺事件に詳しい杉山雅浩弁護士は「投資額が一番多い人は5000万円とか、平均すると400万~500万円くらい。容疑者は巧みな話術で人を乗せていくことに長けており、勧誘のカリスマと呼ばれていた」と話す。玉井容疑者ら7人は国の登録を受けずに男女6人から出資を募った疑いがもたれている。

  • 「おいしい話なんてないと肝に銘じるべき」との指摘も(画像はイメージ)
    「おいしい話なんてないと肝に銘じるべき」との指摘も(画像はイメージ)
  • 「おいしい話なんてないと肝に銘じるべき」との指摘も(画像はイメージ)

「スッキリ」が被害者を取材

   玉井容疑者はセミナーで「自分は20代からずっと億万長者なんです。世田谷区のマンション住まいで、たったの80坪、250平方メートルしかなくて、フットサルくらいしかできません。どうしたらお金の苦労から解放され、自由になれるかをずっと考えてきました」などと、巧みな話術で参加者を引き込むと、暗号資産のビットコインで儲けたと言い、AI(人工知能)を使った特別なシステムで運用し、なんと月利20%の配当が出るシステムだと説明していた。

   被害に遭った30代男性は「去年の6月、コロナ禍で収入も減っていた。友人の紹介で、3年で3億円になると言われ、115万円を出資した。自分は慎重なタイプと思っていたが格好のカモだった」と告白した。この男性は友人に115万円を直接渡し、運用状況はスマホで確認していた。

   杉山弁護士によると、スマホの画面上ではどんどんお金が増えていくが、あくまで画面上のこと。また「友人を紹介すると8%の紹介料がもらえる。マルチの仕組みでした」という。

   被害者の30代男性は「1カ月で5万~10万くらい増えていたが、このまま上がるのを待ったほうがいいと言われて待っていたら、10月下旬になって、『すべての業務を一時停止します』というメールが来た。友人だったので信用してしまった」と後悔する。

   司会の加藤浩次は「月利20%はありえないでしょ。年利にしたら240%でしょ? 今、銀行は0.001%ですよ。100万円預けて、1年で100円しか増えない。それなのに月20万円はありえない」とコメント。

   政策アナリストの石川和男は「昔からこういう話はある。おいしい話なんてないと肝に銘じるべき」と話した。

   菊地幸夫弁護士は「逮捕容疑は金融商品取引法違反の無許可営業なんです。これだと最大で5年くらいの懲役ですが、詐欺罪だとこれが10年になる。つまり、警察も詐欺の裏付けが取れていないということだと思います。システム解明はこれからになると思いますが、闇の中に入ってしまえば、そのハードルは高い。友人の紹介ですから、領収書や契約書もなかったかもしれない」と解説し、「預けて何もせず、儲かるという話はない」と指摘した。

(バルバス)